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中学生向け国語辞典を比較しおすすめを考える 中学受験にも【2020年版】

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高校生向けの国語辞典を比較し おすすめを考える【2020年版】」に続き、中学生向けの国語辞典の比較をしてみます。

(英和辞典はコチラ>>>中学生向けの英和辞典のおすすめを考える 市販8種比較【2020年版】 

ちょうどわが家の息子が4月から小6なので、国語辞典好きの親が息子に使ってほしい辞書はどれだ?という視点で考えます。目先の国語の成績がどうこうではなく、長い人生で役立つ読解力や表現力や知識を学べる辞書はどれなのか。

候補はこの3冊(並びは大きさ順)。
例解新国語辞典 第九版
旺文社標準国語辞典 第七版
ベネッセ新修国語辞典 第二版

例解新国語辞典 旺文社標準国語辞典 ベネッセ新修国語辞典

店頭にはもう一つ学研現代標準国語辞典 改訂第三版がありますが、文学史に登場する作家名や作品名がないので、学習用の国語辞典として私の考えでは選外です。この編集方針は同じ学研の高校生向け『学研現代新国語辞典』と同様ですね。

同じ理由で一般用で人気のある『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』も、中学から使う必要はないと考えています。

 

 

内容比較

 

例解新国語辞典

 

出版社:三省堂
初版:1984年
最新版:2016年
前の版:2012年
版数:9
収録語数:59,000
総ページ数:1,360

大きさ(タテ ヨコ 厚さ):186×132×41mm
重さ:788g
囲み記事・コラム:「ことばの知識」「ことばの使い方」「ことばの使いわけ」など
欄外情報:世界の国名、日本と世界の歴史上の重要人物
巻末付録:コラム「語彙のひろがり ことばの世界」、品詞分類、活用表、敬語の分類と使い方、索引(囲み記事、誤解されやすいことば・新しい言いかた、同じ表記で違った読み方をする別のことば)

 

収録語数は他の2つを大きくリード。反面、ズシリと重さを感じます。同じ三省堂の『三省堂国語辞典』や『三省堂現代新国語辞典』より大きく重いです。

文学史や歴史上の人物名は欄外情報にあります。「万葉集」「枕草子」「坊っちゃん」といった作品名はありません。

囲み記事のコラムは全55個。日本語の奥深さを学び、日本語が好きになる内容が満載です(>>>『例解新国語辞典』の囲み記事から 日本語が好きになる名文の5選)。

この中で、「…ごとに」と「…おきに」の違いについてほぼ1ページを使っての解説があり、驚きました(>>>「おき」と「ごと」の違いがわかる国語辞典はどれだ? 手持ちの17種でNo.1は、なんと中学生用の『例解新国語辞典』!)。

巻末の見返しページに、[注意]のマークを付けて本文で説明のある「誤解されやすいことば・新しい言い方」の一覧索引があります。「一姫二太郎」「他力本願」「情けは人の為ならず」「初体験」「役不足」「唯我独尊」「令嬢」など。すべて大人が読んでもおもしろいです!(>>>『例解新国語辞典』に学ぶ 誤解されやすいことば・新しい言いかたの15選「拙速」を引いて『例解新国語辞典』の恐るべき実力を評価する

 

旺文社標準国語辞典

 

出版社:旺文社
初版:1965年
最新版:2011年(2020年重版)
前の版:不明
版数:7
収録語数:47,000
総ページ数:1,248
大きさ(タテ ヨコ 厚さ):185×137×39mm
重さ:715g
囲み記事・コラム:使い分け、比較、慣用表現、表現、ことばの要点
欄外情報:なし
巻末付録:国語表記の基準、国文法の解説(品詞分類、活用表)、敬語の使い方、漢字の筆順、常用漢字表「付表」、アルファベット略語集、索引(使い分け、比較、慣用表現、表現、冒頭文、ことばの要点、和歌・俳句、故事・ことわざ、漢字画引き)、物の数え方

 

他の二つとの大きな違いは、古語(「あはれ」「はべり」「をかし」など)の立項、和歌・俳句の収録、文学作品の冒頭文がある、漢字一文字の意味の説明があるところです。

冒頭文は「古事記」「枕草子」「源氏物語」「徒然草」「学問のすすめ」「坊っちゃん」「羅生門」「論語」など25作品。この特徴は一般用を含めてこの辞書にしか見た記憶がありません。

人物名、作品名、国名は欄外でなく本文中に立項されています。人物名は文学のみで歴史(「徳川家康」など)は収録なし。

欄外に情報がないので、高校生から一般用の辞書と同じ感じの落ち着いた紙面の印象です。

2020年重版で「令和」が入ったり天皇誕生日の修正がありました。こういう機敏なところはいいですね。

 

ベネッセ新修国語辞典

 

出版社:ベネッセ
初版:1991(チャレンジ国語辞典)
最新版:2012
前の版:2006
版数:2
収録語数:47,000
総ページ数:1,280
大きさ(タテ ヨコ 厚さ):186×130×38mm
重さ:631g
囲み記事・コラム:使い分け、日本語SOS、表現べんり帳、今昔さんぽ
欄外情報:国名、人名、作品名、ABC略語
巻末付録:品詞分類表、活用表、助詞一覧、接続詞をマスターしよう、副詞をマスターしよう、敬語を使いこなそう、手紙を書こう、こよみに関係することば、年齢をあらわすことば、漢字小辞典、漢字総画索引、索引(表現べんり帳、今昔さんぽ)

 

3つの中で一番コンパクトです。

他の二つとの大きな違いは、「表現べんり帳」というコラムです。

表現べんり帳

「いう」「かんがえる・思考」「多い・少ない」など、作文に便利です。

また、「使い分け」も図になっていて工夫があります。

ベネッセ新修国語辞典

漢字は本文中に立項せず巻末一覧に収録しています。

使っている紙が白色です。他の二つは辞書に一般的なクリーム色。見やすさや手触りで劣る印象です。

 

語釈の比較

 

私のチェック項目の一つである、介護と看護の違いがわかるか(>>>「介護」と「看護」の違いがわかる国語辞典はどれだ? 小型から大型まで17種の比較と評価)。

他に、この記事を書いていて「配慮」と「観点」の使い方が気になり引いてみました。

介護

例解新国語辞典
病人や身障者、寝たきり老人などの日常生活の世話をすること。

旺文社標準国語辞典
病人やからだの不自由な人、あるいは高齢の人の看護や世話をすること。

ベネッセ新修国語辞典
病人や体の不自由な人、老人などに付き添って、身の回りの世話をすること。「けが人を―する」「―保険」

 

配慮

例解新国語辞典
いろいろなことにあれこれと気を配ること。[用例]他人の気持ちを配慮する。弱者に配慮する。配慮がいきとどく。配慮に欠ける。[類]心づかい。心くばり。気くばり。気づかい。考慮。

旺文社標準国語辞典
手ぬかりがないようにいろいろと心をくばること。心づかい。「―に欠ける」

ベネッセ新修国語辞典
あれこれと気を配ること。「何かと―する」[類]考慮・心配・心遣い

 

観点

例解新国語辞典
ものごとを観察したり、考えたりするときの目のつけどころ。[用例]観点がちがう。観点をかえる。観点の相違。[類]見地。視点。視角。[表現]「視点」が、どの立場から見るかを問題にするのに対して、「観点」は対象のどこを見るかを問題にする。

旺文社標準国語辞典
物を見たり考えたりする場合のよりどころとなる立場。見地。「―を変える」

ベネッセ新修国語辞典
ものごとを見たり考えたりするとき、よりどころとなる立場。目のつけどころ。「―を変える」[類]見地・視点

 

「介護」と「看護」の違いは、『旺文社標準国語辞典』ではわかりません。

「配慮」と「観点」は、『例解新国語辞典』が情報が豊富さと詳しさで他を圧倒しています。


副助詞「は」と格助詞「が」の違いの説明

 

「象は鼻が長い」の「は」と「が」の違いです。『例解新国語辞典』と『ベネッセ新修国語辞典』には、「は」の説明の中で詳しい説明があります。『旺文社標準国語辞典』には特に詳しい説明はありません。興味のある方はぜひ手にとってご確認ください。

 

どれを選ぶ?

 

それぞれ特徴があって、悩ましいところです。

例解新国語辞典』は、一語一語の説明の情報量が圧倒的に多く、用法・用例も豊富です。反面、大きく重いので学校まで持ち運びをしろと言われると、子どもがかわいそう…。

旺文社標準国語辞典』は、和歌・俳句や文学作品の冒頭文にひかれます。古語があるのも高校受験には強みです。作文にも「表現」の囲み記事で配慮しています。

ベネッセ新修国語辞典』は「表現べんり帳」や「使い分け」が情報豊富で便利です。特に作文には最も役立つ辞書かと思います。また、コンパクトさも魅力です。横幅が『岩波国語辞典』『明鏡国語辞典』『三省堂国語辞典』とほぼ同じ。辞書はこれくらいの大きさが最も使いやすいと感じます。

 

悩みますが、私が息子にすすめる一番手は『例解新国語辞典』です。一語一語の情報量の豊富さが魅力です。

ここで三省堂さんに要望です。『例解新国語辞典』は総ページ数1,630の『三省堂現代新国語辞典』より270ページも少ないのに、厚くて重いです。次の改訂ではぜひ同じ紙を使って、薄く軽く作ってほしいところです。薄くすると店頭での見栄えが悪くなって売れなくなるんですかね…。

 

中学受験にも

 

『例解新国語辞典』のホームページには、「群を抜く情報量で中学受験から高校受験まで強力にサポート」とあります。

また、ベネッセのサイトを見ると、小学校4年生から『ベネッセ新修国語辞典』を使っている学校もあるようです(小学校の先生向け>学校現場でのお取り組み事例:「辞書引き学習」のススメ - ベネッセの辞典)。

中学生向け国語辞典は、小学校高学年から中学受験に限らず使えますね。

 

高校受験対策は?

 

もし今中学3年生で、高校受験への即効性を考えるなら、『旺文社標準国語辞典』を選ぶのも有力な選択肢です。古文への対策と漢字一文字の意味の説明があるという二つの強みがあります。

それでも、まずは『例解新国語辞典』を推します。別記事にまとめました(>>>中学生向け国語辞典を比較しおすすめを考える 高校受験対策は?【2020年版】)。

 

『例解新国語辞典』について補足

 

『例解新国語辞典』は、私がこれまでに読んだ文書術や辞書に関する「大人の」本の中に、この3つの中で唯一登場します。

 

『レポートの組み立て方』(木下是雄 ちくま学芸文庫)p223

私の手許には何種類かの国語辞典があるが、いちばんよく使うのは『学研国語大辞典』と『例解新国語辞典』である。(中略)後者は中学生用の辞典で、ものを書くときにはその意味で参考になる。

 

『診断・国語辞典』(鈴木喬雄 日本評論社)p254

最近出た『例解新国語辞典』の扱いは、「言語生活の実際」を見逃すことなく、極めて的確で行届いた説明になっている。

 

 また、たまたまこのブログを書いている時にtwitterでこんなやりとりがあり、

「セオリー」の「お決まりのパターン」という語釈が、三省堂の国語辞典の中で『大辞林』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』にないのに、『例解新国語辞典』にはあることがわかりました。

この辞書は私の中では単に中学生用でなく、常用辞書の一つとなりそうです。

>>>こちらはシロクマ版

>>>リビングには広辞苑をおすすめします