しあわせ情報室

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山田詠美さんの『つみびと』の、「妻や子どもをしあわせにできない父親たちの物語」としてのまとめ。DV、性的虐待、不倫、子どもの人格否定、マザコンなど、様々な罪。

山田詠美さんの『つみびと』に登場する父親たちの、子どもを死なせた罪の重さの考察の続きと、まとめです。

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(過去記事)
山田詠美さんの『つみびと』を、「妻や子どもをしあわせにできない父親たちの物語」として読んだ。罪の重さ一位は、松山音吉(蓮音の元夫)の父性の不足。 - しあわせ情報室

山田詠美さんの『つみびと』に登場する父親たちの罪を考える。罪の重さ二位は、笹谷隆史(蓮音の父/琴音の元夫)による子どもの人格否定。 - しあわせ情報室

※以下はネタバレを含みます。

 

三位:吉田伸夫(琴音の継父)

罪は、性的虐待、不倫です。


伸夫は、妻と別居中で正式に離婚していないにも関わらず(p134)、琴音一家と住み始めます。そして、中学生に入ったときから高校に入るまでの琴音に、性的虐待をします(p243)。結果、琴音の心が壊れます。挙句の果て、長い間、のらりくらりと都合よく二つの家を行き来して、琴音の母を捨てます(p242)。

登場する父親たちの中で、桃太と萌音を死なせたことの「罪の重さ」としては三位にあげましたが、人しての「罪の深さ」は、ダントツの一位だと思います。ちなみに本の帯のキャッチコピーは、「本当に罪深いのは誰」です。

この男さえまともだったら、琴音も、蓮音も、桃太も、萌音も、不幸になることはなかったのに、と思ってしまいます。


四位:下田正(琴音の実父)

罪は、DVです。


正は、琴音の母、兄、琴音に、些細なことで日常的に暴力を振るいます(p14)。"母の顔は取り繕いのようのないほど腫れ上がっていた。数日間は近所の人に出くわさないよう、ひっそりと暮らすことになるのだ" (p58)とあります。相当な暴力だったのでしょう。

小説では、"弱いものにだけいばる男"(p46)、"弱い犬ほどよく吠える"(p55)と描写されています。

小学生の琴音の目の前で、正は死にます。急性心筋梗塞です。この場面で琴音は、"あんなにひどい目に遭って来たのに、お母ちゃんはお父ちゃんが好きだったんだ" (p97)と思い至ります。正は、体のあちこちに持病を抱えていた(p99)そうです。葬式で琴音の母は、"苛々してどうしようもなかったんだわ" (p99)と泣きます。

 

DVの夫と妻と子の事件は、最近も千葉県野田市でありました。報道では、この妻も、暴力を受けても夫が好きだったとのこと。

琴音の母も、老いて死ぬ間際に、正が好きだったと振り返っています(p278)。

DVの夫が好きだという心理は、私にはどうしても、わかりません。

 

正がまともな男だったら、結果としては、後に琴音の母が伸夫のような男に惹かれることもなかったのかな、と思います。

 

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まとめます。私はこう考えます。


◇子どもを死なせた罪の重さ

一位 松山音吉(蓮音の元夫)罪:父性の不足(マザコン)
二位 笹谷隆史(蓮音の父) 罪:子どもの自己肯定感を育てなかった(人格否定)
三位 吉田伸夫(琴音の実父)罪:性的虐待、不倫
四位 下田正 (琴音の継父)罪:DV

 

◇人としての罪の深さ ※本書の帯のコピーは「本当に罪深いのは誰」です。

一位 吉田伸夫
二位 下田正
三位 笹谷隆史
四位 松山音吉


『つみびと』は、育児放棄、子どもへの過干渉といった母親たちの罪が描かれているだけでなく、父親たちの様々な罪について考えさせられる小説でした。

音吉や隆史は、私の反面教師です。私自身や将来父になる予定の息子が、同じ轍を踏まないように、心にとめておきたい本です。

 

小説には、育児書やノンフィクションからは得られない、おもしろさや学びがあることが、よくわかりました。

つみびと (単行本)

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