漫画『鬼滅の刃』の単行本を小5の息子がクラスの友だちから借りてきて、熱中して読んでいました。
『鬼滅の刃』については、先日のビジネス書ベストセラー作家のセミナーで土井英司さんも「ヒットするマンガは世相を表す」として取り上げています。
ヒットの理由がネットニュースにも出ています。
上のニュースから、簡単なあらすじを紹介します。
舞台は大正時代の日本。心優しき主人公・竈門炭治郎は、家族を鬼に殺され、生き残りの妹・禰豆子も鬼となってしまいます。彼女を人間に戻すべく、炭治郎は鬼と対峙する「鬼殺隊」に入り、兄妹で旅に出ますが……
これだけ話題になって息子もハマっているなら、ここは父として知っておかねばならじと、息子には内緒で単行本を漫画喫茶で一気読みしました。
ついでにアニメもAmazonプライム・ビデオで一気見です。
ちなみに私は、中一の頃にジャンプを毎週朝一で買って『ドラゴンボール』『北斗の拳』『聖闘士星矢』などにハマり、後になぜか少女漫画の『ぼくの地球を守って』に熱中していた元漫画大好き少年です。
『鬼滅の刃』を一気見した結論は、「友情、努力、勝利」という正統派のヒーローの特徴に加えて、限りないやさしさを持つ主人公が活躍する、息子に安心して見せられる、王道の漫画でした。
そして大人は、現実の世界から救われるような物語です。
その理由をまとめます。
主人公の正統派ヒーローとしての魅力。特にやさしさ。
主人公の竈門炭治郎は、努力家で、家族思いで、仲間思いで、純粋で、まっすぐ、やさしく、情け深く、ちょっと天然、そしてどんどん強くなるという、少年マンガの正統派ヒーローです。例えばこんなセリフがあります。
「頑張れ!! 頑張ることしかできないんだから俺は昔から」
「努力は日々の積み重ねだ 少しずつでいい 前に進め!!」
激闘で動けなくなっても、常に自分より仲間を思いやります。
私が昔読んだ漫画のヒーローたちより特に特徴的なのは、限りないやさしさです。母や兄弟を鬼に殺されていながら、こんな情けをかけ、炭治郎のやさしさに鬼たちは最期に救われます。
「鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いているものを踏みつけにはしない」
「醜い化け物なんかじゃない 鬼は虚しい生き物だ 悲しい生き物だ」
フィクションの世界ではありますが、炭治郎が持つこれらの普遍的な価値観を大切にしてくれる漫画を子どもが好きになってくれることは、親としてありがたいです。
家族間の愛情。また師匠と弟子や先輩後輩の思いやり。
炭治郎と妹の禰豆子の二人の兄弟愛を中心に描きながら、登場人物それぞれの親子、兄弟、夫婦という家族間の愛情のほか、師匠と弟子や先輩と後輩の間の信頼や思いやる気持ちが熱く描かれます。
これも、子ども一緒に大切にしたい人生の普遍のテーマです。この点も親としてありがたいところです。
ダークサイドに落ちた鬼と、現実の世界。
この点は、元漫画少年の中年オヤジの感想です。
出てくる強い鬼たちは、生まれつき病弱だったり、貧しさから虐げられたり、愛するものを奪われたり、様々な不条理からダークサイドに落ちた過去が描かれています。
現実の世界ではみなが炭治郎のように生きられるはずもなく、嫉妬や恐れなどの負の感情から何度もダークサイドに落ちた経験を、私自身の中にいくつも思い出すことがあります。
会社のような組織の中でも、他人を蹴落とすような行き過ぎた成果主義や、パワハラ、セクハラという問題は、人の心にはいろいろな鬼が住んでいることの証なんだと思っています。
そんな負の感情や人の心にある鬼の部分を救う炭治郎が底なしのやさしさに、『鬼滅の刃』を読んでいると私も救われるような気がしてきます。
まとめ。息子は煉獄さんが好きで、何かうれしい。
『鬼滅の刃』は主人公の炭治郎とその仲間たちの活躍に子どもたちは憧れ、大人は現実の世界からの救いを感じられるような、そんな漫画です。
息子に「誰が一番好き?カッコいいと思う?」と聞いたら、「煉獄さんかな~」という答え。おぉ、父として何かうれしいぞ!
今後も息子と一緒に、完結まで楽しめそうです。
■最終巻
■第一巻