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「海賊王におれはなる」と「おれは海賊王になる」の違いに学ぶ日本語

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アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」を、小5の息子と毎週楽しく見ています。

少年ルフィが海賊王を目指し、仲間を集め冒険の航海をしていく物語です。 

1年ほど前に息子とアニメを見始めてから、インターネットカフェで過去の単行本を全巻読み、最新巻は発売日に買って読んでいます(息子には内緒)。

単行本91巻をふと読み返していたら、主人公のルフィの決めゼリフ、

「海賊王におれはなる!」は、なぜ「おれは海賊王になる!」ではないのか

という読者からの質問がありました(p158)。

作者の尾田栄一郎先生は、実はこのセリフには強いこだわりを持っていて、文法的に「強い言葉」 であり、

「おれは海賊王になる!」というような言葉を選ぶような僕では、ルフィは描けなかった

とまで答えています。

そこで、尾田先生がそこまで言う、「海賊王におれはなる!」のほうが「おれは海賊王になる!」より強い言葉なのはなぜなのか、調べてみました。

目次

「おれは」は、主語ではない

本多勝一さんの著書『<新版>日本語の作文技術 (朝日文庫)』で学んだ内容です。

日本語の文法には「主語廃止論」があり、「は」は「主題」を表すという主張がある(p174-200)、とあって驚きました。

それまでずっと、「名刺+は」は主語であり、主語が一番前に来るのが自然な日本語だと思っていました。

学校の国語でこう習った覚えがあるからです。

最近読んだ金谷武洋さんの著書『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』も、「名刺+は」は主語ではなく「主題」であり、「主題」という日本語の特徴を教えないことが学校文法の問題だと指摘しています(p156-166)。

確かに、国語辞典のうちで規範主義とされる『岩波国語辞典」と『明鏡国語辞典』にも、「は」は主語や主格を表すとは、どこにも書いていません。

いやー、知りませんでした!

「おれは、海賊王になる!」の方が自然な日本語ではないかと思う方が、実は、明治時代の西欧文法の直輸入から脱却できていない、間違った感覚のようです。

重大なものから重大でないものへ

同じく、『<新版>日本語の作文技術 (朝日文庫)』の一節です(p73)。

重大なものから重大でないものへ、も日本語の原則とのこと。

「おれは」は、省略しても意味は通じますので、「海賊王に」のほうがより重大で、前に来るべきということでしょう。

長い修飾語は前に、短い修飾語は後に

これも、『<新版>日本語の作文技術 (朝日文庫)』(本多勝一)にある一節です(p66)。

複数の修飾語がある場合、長い順にすることが、文をわかりやすく自然にする原則だ、とあります。

七五調である

最後に、ネットで見つけた意見を紹介します。

ぜひあなたも実際に口に出して言ってみて下さい。
「かいぞくおうに(7音) おれはなる(5音)」と自然に口が動いたと思います。
この文章は日本人に馴染みの深い七五調として見事に機能しているのです。
七五調とはその名の通り七音、五音の順で組み立てられた文章の事で、代表的な例としては『いろは歌(色はにほへど 散りぬるを…)』を挙げる事が出来ます。 

なるほど!七五調

確かにリズムがいいですね。

以上、現時点で気づいたことのまとめです。

こういったことが組み合わさって、「俺は海賊王になる」より「海賊王に俺はなる!」の方が強い言葉なんですね。

日本語の学びを深める、いいきっかけになりました。

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