今日の日経新聞の朝刊で、芝浦工業大学が新入生の窓口相談を効率化するために、スマートフォンで質問を送れば人工知能(AI)が自動応答するシステムを開発した、という記事を読みました。

「授業の履修方法」「奨学金を受けたい」「大学窓口が開いている時間」「食堂の営業時間」といった質問に、AIが答えてくれるそうです。
このようなAIの情報は、そのAIが「真の意味でのAI」なのか、「AI技術」なのか、厳密に区別することが重要だと考えています。
このことは、新井紀子先生の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読んで学びました(p16)。
新井先生は、「AI」ということばと、「AIを実現するために開発されている技術」(音声認識技術・言語自然処理技術・画像処理技術・音声合成技術・情報検索技術・文字認識技術など)が混同して使われていて、そのような「AI技術」を総称して単に「AI」と呼ぶようになった、と言います。
そして、本来AI(artificial intelligence=人工知能)と言うからには、人間の一般的な知能と同等レベルの知能でなければならないが、そんなAIはまだどこにも存在していない、と断言しています。
次の通りです。
AIはコンピューターであり、コンピューターは計算機であり、計算機は計算しかできない。それを知っていれば、ロボットが人間の仕事のすべてを引き受けてくれたり、人工知能が意思を持ち、自己保存のために人類を攻撃したりするといった考えが、妄想に過ぎないことは明らかです。(p2)
芝浦工業大学のニュースの「AI」も、もちろん「真の意味でのAI」でなく、「AI技術」=計算機でしょう。それがわかることで、逆に、計算機にできないことは何かを考えることができます。
例えば、「死にたい」などのネガティブなキーワードに対しては、カウンセラーがいる窓口を紹介するだけだそうです。AIは答えを出しません。
ということは、こういう相談に対応できるようなスキルを身につければ、AIには代替されず、仕事を奪われないということです。
子どもの将来を考えたり、私自身がこれからの社会で生き抜くためのヒント考える、きっかけになるニュースでした。


