損保ジャパンのリストラがニュースになりました。
ITの活用などによる業務効率化で、国内損保事業の4,000人が、介護や警備の子会社に転籍になるようです。
このニュースに思うことは、ITの活用やAI技術で損害保険の会社の仕事は減らせても、AIに認知症高齢者の介護の仕事はできないだろうなぁ、ということです。
根拠は、国立病院機構東京医療センター高齢者ケア研究室が制作した、この7分弱の動画です。
認知症のお父さんにご飯を食べてもらおうとする娘さんの、失敗例と成功例です。
ここに出てくるお父さんはそもそも、話しかけられていると理解できないようです。
現状AIは、言語などによる正しい情報入力が前提でしょう。
わが家のAIスピーカー「Amazon Echo Dot」くんは、少し言い間違いをしたり、話しかける後ろで騒音があると、うまく聞き取ってくれません。
そんなAIが、言語によるコミュニケーションが難しい人のケアを、どうやってできるのでしょう。
認知症に限らず介護の仕事は、聴覚(=言語)だけでなく、五感のすべてを同時に使います。
視覚(肌の色つや、皮膚や爪の変色、血が出ていないか)、嗅覚(へんな臭いがしないか)、触覚(体温に異常がないか)、味覚(食事の温度、味)など。
子育ても同じですね。
新井紀子先生の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』によると、AIに不得意な分野は、「高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野(p171)」とのこと。
こういうAIに、五感のすべてを同時に一瞬に使う介護(や子育て)の仕事ができるとは、現状思えません。
する側も、される側もしあわせな介護は、チェスや囲碁や将棋のように、答えが決まったゲームではありません。
介護や子育ては、AIには簡単に真似できない、複雑で高度なコミュニケーション能力が必要とされる仕事だという一面を、知っておく必要があると思います。
ちなみにこの動画で紹介されているケア技法は、「ユマニチュード」です。
公式サイトはこちら。
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以上、損保ジャパンの4,000人のリストラに思うことの話題でした。