ブログに「書評」や「読書感想文」を書こうとするとき、考えておくことは何でしょうか。
そもそも「書評」と「読書感想」は違う?
読書家の識者の見解を調べてみました。
成毛眞
まずは元日本マイクロソフト社長で、現在は書評サイト「HONZ」代表を務める成毛眞さん。
『ズバ抜けて頭がいい人の「本棚」は何が違うのか』にこうあります。
書評に個人的な思い入れは不要だ。書き手がどんな経験をしてきた、どんな個性の持ち主かは、読み手には一切関係がない。書評は読書感想文ではないし、文芸作品でもない。泣かせたり笑わせたりと感動を求める文章に仕立てる必要はない。いかにその本が面白かったかの説明だけになる。極端なことをいえば、書き手がその本を好きか嫌いかや、良いと思うか悪いと思うかは関係ない。ただ、面白いという事実だけを伝えることに全力を尽くすべきだ。
「書評」と「読書感想文」を明確に分けています。
「書評」に「感想」は不要だと。
そして「個性は書評する本選びで発揮する」と続きます。
イメージは新聞の書評欄や大手書店サイトの書評記事ですね。
小飼弾
続いて伝説の書評ブロガー小飼弾さん。
『本を遊ぶ 働くほど負ける時代の読書術』より。
読書感想文は本当に難しいものです。僕は長いあいだ書評ブログを書いていましたが、1冊の本の本質を的確に見抜き、短い言葉で表現するということは実に至難の業です。
これから読書ブログをはじめようという人は、名文を書こうなどとは思わずに、ただ淡々と事実を書けばいい。
情報の要素としてはタイトル、著者名、出版社名、簡単なあらすじがあればいい。
感想は、書きません。繰り返しますが感想文は難しいからです。僕程度に読み書きを繰り返して、ようやく少しは感想文っぽく書けるようになったかな、というくらい。ですから、無理に面白さを伝えようとしなくてかまいません。
この引用の前には、「何のために本を読むかといえば、究極の目的は自分でしっかりものを考えられるようになるため」で、子飼さん自身はブログに「その本を読んで自分が考えたことを書いている」とあります。
自分の考えや感想文は、子飼さんレベルの読み手になったら書けばいいと。
樺沢紫苑
逆に、精神科医でビジネス書作家の樺沢紫苑さんは『学びを結果に変えるアウトプット大全』にこう書いています。
ビジネススキルを伸ばしたい、ビジネス的に自己成長したいという人に最もおすすめのアウトプット・トレーニング法が、「読書感想を書く」ということです。
前半は、本を読む前の自分(ビフォー)について書きます。どんな問題、悩みを抱えていたのか。後半は、本を読んだあとの自分(アフター)について書きます。その問題が、本によってどのように解決されたのか。
「アフター」は、「気づき」と「TO DO」に分解されます。(中略)自己成長を誘発する読書感想という意味で、「気づき」と「TO DO」を盛り込むことは必須となります。
成毛眞さんとは逆の主張です。
自己成長のために、個性と経験を読書感想として書こうと。
まとめ
これらの見解から分類すると、「書評」は報告書・レポート、「読書感想文」はエッセイです。
そして子飼さんが言うように、最も難しいのは「いいエッセイ」を書くこと。
新聞や書店のサイトに載る「書評」は、主に新刊の紹介ですので、成毛眞さんの言うようなスタイルが求められるのでしょう。
成毛さんが代表の「HONZ」の書評も、発刊後3ヶ月以内の本のものだけです。
個人のブログについては、読んでおもしろく感じるのは「読書感想」です。
その本で、その本の中のことばで、読んだ人がどう変わったのか知るほうが楽しい。
「書評」の内容はアマゾンの商品紹介や出版社のサイトを見ればだいたいわかりますし、そもそも新刊よりも、5年・10年と書店の棚に残っている本の方に興味がありますので。
私の中では、「書評」と「読書感想」は別と考えたほうがよさそうです。
そして成毛眞さんの言うような「書評」も、樺沢紫苑さんの言うような「読書感想」も、両方書けるようになったらいいですね!
ということで現段階では、ブログに書くのは樺沢紫苑さんが言うような「読書感想」が中心でいいかなと考えます。
将来「いいエッセイ」を書けるようになりたいなら、つたなくとも書くトレーニングをしなければ、書けるようにはなりませんので!
以上、「書評」と「読書感想文」はどう違う?という話題でした。
このブログの記事で、樺沢紫苑さんのいう読書感想に近い記事を選んで「書評・読書感想」のカテゴリーにまとめました。
ご参照いただけると幸いです。