私と同じ就職氷河期世代の団塊ジュニアが書いた、これからの生き方を考えるきっかけになるような本を何冊か紹介していきます。
まずははてなブログの人気ブロガー、フミコフミオさんの『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』です。
「中小企業で働いている、サクセスもしていない、人生に大きなトラブルや下剋上のエピソードもない」(ご本人の弁)、中間管理職の会社員が書いた処世術という、貴重な本です。
なぜ貴重かと言うと、世にある処世術の本は、どこか大手や有名な会社の社長やエリート社員、独立して成功している人、もしくは大学教授や宗教家が書いたものがほとんどだからです。
フミオさんは中小企業の中間管理職の会社員として、その日常をおもしろおかしく、時に悲しくせつない文章に昇華してくれます。
私がこれまで読んだ中には、こんな本はありません。
会社での上司、同僚、部下、おばちゃんとの小話や、家庭で結婚が実はチワワの世話のようなものだと思ったり、奥様から汚物扱いされているところなどに、自分を重ねて共感してしまいます。
「三宅裕司のいかすバンド天国」「大事MANブラザーズバンド」「ザ・ストーン・ローゼズ」という、同世代の思い出もいろいろと出てきて懐かしいです。
そんなフミオさんの文章の世界に浸っていると、いきなりハッと、明日からのヒントになるようなことばが出てきます。
例えば今の私は、こんな言葉にハッとなりました。
しんどい境遇や状況に陥ったらまずは逃げよう。(p93)
日々、少しずつ刃を研いで、どこでも戦える歯車になろうじゃないか。(p117)
どんな人間でも可能性がゼロパーにならないことが、人生の素晴らしさであり、残酷さなのだ。(p151)
サイコーな人生の陰には、バタ足の努力があるはずなのである。(p155)
経験の差ではなく覚悟の差だった。(p274)
そして、あとがきの最後にある「最後まで読んでくれたあなたへ」の「僕らは弱い」からはじまるメッセージに、ジンときてしまいます。
でも、弱いのは自分だけじゃないということ、これだけは忘れないでほしい。みんな弱いのだ。強く見える人は、戦い方を知っていて、戦いに慣れているだけなのだ。
このあとがき全文は、同世代の団塊ジュニアの会社員の方にぜひ味わってほしい。
これからつらいときや、逆にイケイケのときにこの本を思い出して、肩の力を抜けたらいいなと思います。
フミオさんのブログの読者であってもなくても、楽しめる一冊です。
>>>フミコフミオさんの情報