『人生やらなくていいリスト』の著者、四角大輔さんは1970年生まれ。
経歴はこちらです。
ソニー・ミュージックエンタテインメントに大学新卒で就職。
営業経験後にアーティストプロデューサーを務める。
後にワーナーミュージック・ジャパンに転職。
ソニーとワーナーでミリオンヒットを連発。
手掛けたアーティストは絢香、Superfly、平井堅、CHEMISTRY、河口恭吾など。
現在は退職し、夢だったニュージーランド移住を実現している。
こう聞くと、子どものころからどんなにスゴい人だったのか、と思います。
しかし四角さん本人が言うには…。
小学校でイジメにあい、中学高校は赤面症とチックに苦しむ。
イケてる大学でも一流大学でもない。
就職で第一希望のNHKに入れず、最初の仕事は札幌でレコード店まわりの営業。
会社の命令に従えずイジメにあう落ちこぼれの営業マン。
メンタルが弱くストレスのせいで、原因不明の咳が続き軽い失声症にもなってしまう。
東京に異動後も長時間の労働で体調不良になり、思考能力や判断能力が低下、メンタルが不安定になり生活のすべてが壊れていく。
こういった経験をしています。
その四角さんがどうして、プロデューサーとして活躍しニュージーランド移住を実現できたのか、著書の『人生やらなくていいリスト』で語ります。
本のキャッチコピーは「現代社会を生き抜くためのミニマム仕事術」「『世界一簡単な』人生デザイン学の本」ですが、内容は「ミニマム」や「簡単」とは対極の、重厚で骨太で情熱的な仕事論であり人生論だと私は感じます。
四角さん自身がこう書いていますので。
新入社員の頃から一切、仕事で手を抜かなかったこと。周りに理解も称賛もされないような、現場での小さなこだわりを、妥協せず貫き続けたこと。(p69)
この本にある仕事術の全40個のポイントから、特に心に響き、これだけは忘れずに胸に刻み込んでおきたいベスト3を紹介します。
過去を振り返ってもいい
傷ついた数だけ、その人のオリジナリティは深まり、それが強みとなる。
あなたのルーツに出会えることで、あなたの中に眠っていた”真のアーティスト性”が目を覚まし、自動的に動き続ける「最強モーター」が動き始める。
「根性や気合」「競争心や野心」という、体と心を蝕みすぐに枯渇する燃料を必要としない。
答えは外ではなく常に内側にある。
それがわかれば、人生を自分の手に取り戻すことができる。
好きな人としかつきあわなくていい
対人恐怖症で仕事を辞めようとしたときに先輩から「ダメもとで一度、好きな人だけつきあってみれば?」と言われ、やってみる。
好きな人との時間が長く、苦手な人との時間が短くなり、過度な緊張時間が減り、隠れていた「自分らしさ」が「目つきと表情」「声と口調」に表れてくる。
それは周囲に伝わり、自然に相手の反応もいい方向に変わってくる。
急がなくていい
「寿命100年時代」と言われる現代において大切なのは、頂上までの「長い山道=人生そのもの」を楽しむこと。
重い荷物を背負って走り続けられる人なんていないが、最小限の荷物で、自分の歩幅でゆっくり歩き続けることなら、あなたにもできるはず。
登山も人生も競争ではない。
目指すは、終始ワクワクしながら長く歩き続けて、できる限り遠くまで行くこと。
「自分らしく生きる」こと
この本のタイトルは「人生やらなくていいリスト」ですが、正しくは「人生こうしたほうがいいリスト」でしょう!
そんなヒントがあふれた一冊です
同世代の方がこの本を手に取る機会があったら、「はじめに」と「おわりに」のこの考えだけでも読んでください。
日本はこれまで、すべてをそつなくこなせる「平均的人間」が評価されてきた。
会社や上司の命令に無抵抗に従う人間。いままで通りのことを繰り返しできる人間。まるで軍隊か工場のようなシステムの中で、ぼくらはロボットのように教育されてきた。(はじめに より)
「自分らしく生きる」。これ以外に、真の成功はないのである。
自分を殺し続け、ボロボロになって登頂したとしても意味はない。
(おわりに より)
「自分らしく生きる」。これ以外に、真の成功はないのである。
このことばに、私はシビレました。
フミコフミオさんのエッセイとの共通点
同世代が書いた本の紹介1冊目に、「就職氷河期世代の生き方を考える本その1 『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。…』(フミコフミオ)」を書いています。
フミオさんは中小企業の中間管理職の会社員ということですが、エッセイにある次のことが、四角さんの本でよくわかります。
サイコーな人生の陰には、バタ足の努力があるはずなのである。
でも、弱いのは自分だけじゃないということ、これだけは忘れないでほしい。みんな弱いのだ。強く見える人は、戦い方を知っていて、戦いに慣れているだけなのだ。
四角さんは、インスタグラムに写るサイコーな人生の陰で、無名で弱かった時からバタ足の努力を重ね、結果として独自の戦い方を見出した人なのでしょう。
この本を読んで四角さんに憧れ、真似をし、四角さんのようになろうとするようでは、きっとダメです。
「あたり前」や「社会のルール」と思っていることから離れ、自分自身にできることだけに賭けられるかどうか、行き詰まった団塊ジュニア世代に問われているようです。
この本は、こんなメッセージカードがついています。
このメッセージカードがほしい方は、迷わず新品で買いましょう!