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丸山健二著『生きるなんて』感想:親なんて、才能なんて、不安なんて

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生きるなんて 丸山健二

丸山健二さんの著書『生きるなんて (朝日文庫)』は、「生きる」「仕事」「不安」「死ぬ」といった骨太のテーマについて、著者流の考えが本音で書かれている本です。

特に、「親なんて」のパートに、私と親や、私と息子との関係を考えさせられました。

親なんて、煎じ詰めれば子どもを作ったという以上の存在ではありません。

動物たちの子に対する親の愛こそが本物なのです。それは、どこにも非の打ちどころがない、純粋な無償の愛で成り立っています。生んで、育てて、自立させる。かれらの目標は、ただその一点に絞られているのです。

ところが、人間の親はどうでしょうか。かれらは子に見返りを期待します。勝手に生んでおきながら、親の恩などという算盤で子どもの尻を叩きつづけ、見返りを求めたり、子どもの人生に便乗したりするのです。

子に見返りを期待していないか、子どもの人生の便乗しようとしていないか、親として注意しなくてはなりません。

他に、「才能なんて」と「不安なんて」も、忘れずにいたいフレーズです。

才能なんて、けっして特別なものではありません。

誰もがそれぞれ何かしらの才能を持って生まれてきているはずなのです。ただ、自分の才能に気づかないか、気づいてもその才能を開花させる努力を怠っているか、知らないうちに才能の芽を摘み取られたかして、自分にはそれが無いと勝手に決めつけているだけなのです。

不安なんて、いちいちまともに相手にすることはありません。

なぜなら、吐き出す息と同様、不安こそが生きている証にほかならないかです。言い方を変えれば、不安から完全に逃れたいなら生者であることを諦めて死者になるしかないのです。

丸山健二さんを初めて知ったのは、雑誌PHPの2012年1月号『明日が変わる「笑顔の力」』にある、「生き抜くことに意味がある」という記事です。

その中で丸山さんは、東日本大震災の三ヵ月後に被災地を訪問した後のメッセージとして、次のように語っています。

これからの時代は、自らの力で生き抜いていかなければならない。安易に政治に頼ったところで、何も解決はしてくれない。ならば自らが首輪をはずし、自力で生きていくことです。

私たち人間には、生きていくための力が具わっている。すべての人間が底力を秘めている。この世に、強い人間も弱い人間もいません。誰もが強い人間なのです。

ここで言う「首輪をはずし、自力で生きていく」ための考え方を、『生きるなんて』で学びました。

生きるなんて (朝日文庫)』はすでに絶版のようで、『人生なんてくそくらえ (朝日文庫)』も読んでみました。

こちらはさらに主張や口調が過激になっていて、私には『生きるなんて』の方が読みやすいですね。

以上、丸山健二さんの『生きるなんて』の紹介でした。

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