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【2023年】学習英和辞典のおすすすめ7選 ▶

三省堂現代新国語辞典の「類義語の比較」の充実ぶりを評価する

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三省堂現代新国語辞典 第六版

三省堂現代新国語辞典』は、新語や新しい用法の積極的な採用で話題となりましたが、「類義語の意味・用法の違いの比較」の解説も充実しています。

(参考:バズった『三省堂現代新国語辞典』第6版。「キメる」「刺さる」…さらに「攻めてる」点を紹介|Zing!

同じように類義語の使い分けの解説を囲み記事や表にしている『学研現代新国語辞典』『旺文社国語辞典』『角川必携国語辞典』『現代国語例解辞典』と、「あ」の見出しにある「類義語の比較」を比べて、その実力を評価してみます。

目次
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三省堂現代新国語辞典

「愛」「愛情」「情愛」
「あいきょう」「あいそ」
「愛らしい」「かわいい」「かわいらしい」
「あがめる」「敬う」「尊ぶ」「尊敬する」
「明かり」「灯火」「ともしび」
「あがる」「のぼる」
「悪人」「悪者」「悪漢」
「あざむく」「だます」「ごまかす」
「あたえる」「やる」「上げる」「差し上げる」「献上する」
「あそばす」「なさる」※本文中の解説
「温まる」「ぬるむ」
「あちら」「あっち」※本文中の解説
「圧迫」「抑圧」「弾圧」
「暴く」「ばらす」
「あやまる」「わびる」
「あらかじめ」「前もって」「かねて」「かねがね」
「あらためる」「改良」「改善」
「あわてる」「うろたえる」「まごつく」
「あわれ」「かわいそう」「ふびん」「気の毒」

全19項目

これらの項目にこのようなすっきりした解説があります。

三省堂現代新国語辞典 与える やる

「あ」以外では、次のようなオノマトペ(擬音語・擬態語)の比較もあります。

「がたがた」「がくがく」
「がっしり」「がっちり」
「きちんと」「ちゃんと」
「きょときょと」「きょろきょろ」
「くだくだ」「くどくど」
「ぐんぐん」「ずんずん」

主幹の小野正弘先生がオノマトペの専門家だからでしょう。

この他に、同音異義語の使い分けを見出しの上の「→↔←」の記号で確認できて、さらに巻末付録にヒントと用例つきの一覧があります。

全6ページ。

三省堂現代新国語辞典 同音異義語の使い分け

「→↔←」の記号は兄貴分の『三省堂国語辞典』譲りですね。

学研現代新国語辞典

「浅はか」「薄情」
「侮る」「みくびる」
「ありあり」「まざまざ」
「ありきたり」「つきなみ」
「安易」「安直」「手軽」

全6項目

ほかに「使い分け」というコラムがありますが、単なる同音異義語の説明です。

また「類語と表現」というコラムも、類義語の使い分けの解説とは少し違います。

今回の比較では、『三省堂現代国語辞典』の勝ちです。

旺文社国語辞典

「あがる」「のぼる」
「あげる」「やる」
「当てる」「当たる」「ぶつける」「ぶつかる」
「余る」「残る」
「ある」「いる」「おる」

全6項目

こちらにある「使い分け」のコラムも、単なる同音異義語の説明です。

こちらも今回の比較では、『三省堂現代国語辞典』の勝ちです。

角川必携国語辞典

「あいまい」「あやふや」
「あがなう」「補う」「償う」
「あからさま」「あけすけ」「開けっ広げ」「ざっくばらん」
「あがる」「のぼる」
「赤んぼう」「新生児」「乳児」「幼児」「児童」
「空き」「暇」「いとま」「すき」
「あげる」「やる」「もらう」「いただく」「くれる」
「あざわらう」「せせらわらう」
「あしらう」「扱う」「使う」
「あだ」「かたき」「敵」
「あたる」「ぶつかる」
「集まる」「集う」「たかる」「群がる」
「跡形」「痕跡」「形跡」
「後戻り」「逆戻り」
「暴く」「ばらす」「すっぱぬく」
「油」「脂」「膏」※これのみ同音異義語
「あふれる」「こぼれる」
「余る」「残る」
「あやうい」「あぶない」
「謝る」「詫びる」「謝罪する」「陳謝する」
「あら」「欠点」「難点」「短所」「弱点」「弱み」
「あらすじ」「要約」
「ある」「いる」
「慌てる」「うろたえる」「取り乱す」「まごつく」

全24項目

同音異義語を除くと全23項目。

さすがに大野晋先生が「つかいわけ」を「本辞典の精華」というだけあって、充実していますね。

しかしながら『三省堂現代新国語辞典』も、比べてみると負けてはいないと思います。

現代国語例解辞典

「愛嬌」「愛想」
「アイデア」「着想」「発想」
「曖昧」「あやふや」「うやむや」
「あえて」「しいて」「たって」
「あがる」「のぼる」
「諦める」「断念する」「観念する」
「アクセント」「イントネーション」「プロミネンス」
「あくどい」「どぎつい」
「あくまで」「徹底的に」
「あけすけ」「ざっくばらん」「あけっぱなし」「あけっぴろげ」
「鮮やか」「鮮明」
「味」「味わい」
「焦る」「せく」「はやる」
「与える」「やる」
「熱い」「暑い」「あたたかい」「涼しい」「寒い」「冷たい」
「集まる」「つどう」「群がる」
「当て字」「熟字訓」
「後片づけ」「後始末」
「暴く」「ばらす」
「危ない」「危うい」
「余る」「残る」
「誤り」「過ち」「間違い」
「争う」「願う」
「あらわ」「あからさま」「露骨」
「ありがたい」「かたじけない」「もったいない」
「歩く」「歩む」
「慌てる」「うろたえる」「まごつく」

全27項目

数は『例解新国語辞典』がNo.1

この辞書の最大の特徴は類義語は「比較表」になっていることです。

左から『現代国語例解辞典』『三省堂現最新国語辞典』『角川必携国語辞典』です。

私の好みは、図よりも『三省堂』や『角川』のような文章での解説です。

文章の方がことばの違いをより深く味わえるように感じます。

まとめ

類義語の使い分けについて、大野晋先生は『角川必携国語辞典』でこう説明しました。

一つ一つのことばをたいせつに、かつ微妙な相違を正確に理解し、つかいこなすために、意味・用法の似通った紛らわしい類義語を一か所に集めて、そのちがいを解説しました。よく読んで日本語のもつこまやかさや豊かな表現方法をつかんでください。

また井上ひさしさんは著書『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』の中で『角川必携国語辞典』を、「書く立場に立ったとき、どう言葉を使い分けるか、とくに『語感』がよく書かれている字引」と評価しました。

大野先生が言う「日本語のもつこまやかさや豊かな表現方法」や、井上ひさしさんが言う「書く立場に立ったとき、どう言葉を使い分けるか」を、『三省堂現代新国語辞典』でも十分につかめるように感じます。

しかも現代語に強く、薄く、柔らかく、手になじんで引きやすい。

『三省堂現代新国語辞典』は『角川必携国語辞典』の愛用者にとって、とても使い勝手のいい辞書だとわかりました。

>>>沼野充義さんの書評も大変参考になります。

もともと高校の国語教科書の内容に即した学習用というのがこの辞典の「売り」なのだが、現代社会で使われる新語やABC略語を丹念に拾った結果、最新の日本語の輪郭がくっきり浮かび上がってくる。むしろ社会人必携の辞書である。

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