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『三省堂現代新国語辞典』の「類義語の比較」の充実ぶりを評価する

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「三省堂現代国語辞典」は、新語の積極的な採用で話題となりましたが、

【参考】
バズった『三省堂現代新国語辞典』第6版。「キメる」「刺さる」…さらに「攻めてる」点を紹介|Zing!

「類義語どうしの意味・用法の違いの比較」の解説も充実しています。

 

以下で、同じように類義語の使い分けの解説を囲み記事にしている「学研現代新国語辞典」「旺文社国語辞典」「角川必携国語辞典」と比較してみます。

 

 

三省堂現代新国語辞典

 

「あ」の見出しにある「類義語の比較」の囲み記事一覧。

「愛」「愛情」「情愛」
「あいきょう」「あいそ」
「愛らしい」「かわいい」「かわいらしい」
「あがめる」「敬う」「尊ぶ」「尊敬する」
「明かり」「灯火」「ともしび」
「あがる」「のぼる」
「悪人」「悪者」「悪漢」
「あざむく」「だます」「ごまかす」
「あたえる」「やる」「上げる」「差し上げる」「献上する」
「あそばす」「なさる」※本文中の解説
「温まる」「ぬるむ」
「あちら」「あっち」※本文中の解説
「圧迫」「抑圧」「弾圧」
「暴く」「ばらす」
「あやまる」「わびる」
「あらかじめ」「前もって」「かねて」「かねがね」
「あらためる」「改良」「改善」
「あわてる」「うろたえる」「まごつく」
「あわれ」「かわいそう」「ふびん」「気の毒」

これらの項目について、すっきりとした解説があります。

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さらに読み進むと、

「がたがた」「がくがく」
「がっしり」「がっちり」
「きちんと」「ちゃんと」
「きょときょと」「きょろきょろ」
「くだくだ」「くどくど」
「ぐんぐん」「ずんずん」

というオノマトペ(擬音語・擬態語)の比較もあります。主幹の小野正弘先生がオノマトペの専門家だからでしょう。

この他にも同音異義語の使い分けは、見出しの上の「→↔←」の記号で確認できて、さらに巻末付録にも一覧があります。「→↔←」の記号は「三省堂国語辞典」譲りですね。

 

学研現代新国語辞典

 

「あ」の見出しにある「類義語の使い分け」の囲み記事は、

「浅はか」「薄情」
「侮る」「みくびる」
「ありあり」「まざまざ」
「ありきたり」「つきなみ」
「安易」「安直」「手軽」

のみです。

ほかに「類語と表現」というコラムがありますが、類義語の使い分けの解説とは少し違うように感じます。

「使い分け」というコラムは、単なる同音異義語の説明です。

今回の比較では、三省堂現代国語辞典の勝ちです。

 

旺文社国語辞典

 

「あ」の見出しにある「類義語のちがい」の記事は、

「あがる」「のぼる」
「あげる」「やる」
「当てる」「当たる」「ぶつける」「ぶつかる」
「余る」「残る」
「ある」「いる」「おる」

のみです。

こちらも「使い分け」というコラムがありますが、単なる同音異義語の説明です。

今回の比較では、三省堂現代国語辞典の勝ちです。

 

角川必携国語辞典

 

「あ」の見出しにある「つかいわけ」の囲み記事一覧です。

「あいまい」「あやふや」
「あがなう」「償う」「補う」
「あからさま」「あけすけ」「開けっ広げ」「ざっくばらん」
「あがる」「のぼる」
「赤んぼう」「新生児」「乳児」「幼児」「児童」
「空き」「暇」「いとま」「すき」
「あげる」「やる」「もらう」「いただく」「くれる」
「あざわらう」「せせらわらう」
「あしらう」「扱う」「使う」
「あだ」「かたき」「敵」
「あたる」「ぶつかる」
「集まる」「集う」「たかる」「群がる」
「跡形」「痕跡」「形跡」
「後戻り「逆戻り」
「暴く」「ばらす」「すっぱぬく」
「油」「脂」「膏」※これのみ同音異義語
「あふれる」「こぼれる」
「余る」「残る」
「あやうい」「あぶない」
「謝る」「詫びる」「謝罪する」「陳謝する」
「あら」「欠点」「短所」「弱点」
「あらすじ」「要約」
「ある」「いる」
「慌てる」「取り乱す」

さすがに大野先生が「つかいわけ」を「本辞典の精華」というだけあって、充実していますね。

しかしながら「三省堂現代新国語辞典」も、比べてみると負けてはいないように感じます。

 

まとめ

 

類義語の使い分けについて大野晋先生は、角川必携国語辞典の冒頭で

一つ一つのことばをたいせつに、かつ微妙な相違を正確に理解し、つかいこなすために、意味・用法の似通った紛らわしい類義語を一か所に集めて、そのちがいを解説しました。よく読んで日本語のもつこまやかさや豊かな表現方法をつかんでください。

と解説しています。

 

ここで大野先生が言う「日本語のもつこまやかさや豊かな表現方法」を、「三省堂現代新国語辞典」でも十分に味わえます。 

また、井上ひさしさんは著書の中で、角川必携国語辞典を「書く立場に立ったとき、どう言葉を使い分けるか、とくに「語感」がよく書かれている字引」と評価しました。

「三省堂現代新国語辞典」も、書く立場に立ったときどうことばを使い分けるか、十分に教えてくれる辞書です。

 

しかも現代語に強く、薄く、柔らかく、手になじんで引きやすい。

角川必携国語辞典の愛用者にとって、非常に使い勝手のいい辞書だとわかりました。

沼野充義さんの書評も大変参考になります>>>

allreviews.jp

もともと高校の国語教科書の内容に即した学習用というのがこの辞典の「売り」なのだが、現代社会で使われる新語やABC略語を丹念に拾った結果、最新の日本語の輪郭がくっきり浮かび上がってくる。むしろ社会人必携の辞書である。