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『第3の案』感想:二者択一の思考を乗り越えて生きられるか

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第3の案 スティーブン・R・スティーブン・R・コヴィー

2012年の発売後にすぐ読んでいた、スティーブン・R・コヴィー博士の『第3の案 成功者の選択』を久々に再読しました。

ビジネス書のロングセラー『7つの習慣』にある、第6の習慣の「シナジー(相乗効果)」という原則を、「本書ではもっとずっと広く、深く、あなたと共に探っていきたい」(p13)とコヴィー博士は語ります。

またコヴィー博士によると、「本書は基本的に、人生において最も難しい問題を解決する鍵となるもの」(p12)です。

難しい問題としてあげているのは、「職場の上司や同僚との深刻な対立」「夫婦間の『修復不能な溝』」「やる気のない子ども」「何かの問題を巡る近所やコミュニティでのいざこざ」など。

こういった問題に対する「第3の案」の考え方と、その具体的な実践例が、この本には満載でした。

その一部を、以下に紹介します。

目次
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「第3の案」とは

「第3の案」とは、「あなたのやり方でも、私のやり方でもない。それらを超えるやり方」(p20)です。

「私のチーム対あなたのチーム」「労働者vs経営者」「買い手vs売り手」「子どもvs親」「夫vs妻」「社会主義者vs資本主義者」などという、二者択一思考を乗り越える考え方です。

この本ではまず、第3の案を探すためのパラダイムの4つを解説します。

1.私は自分自身を見る
主体的に判断して行動できる唯一無二の個人として、自分自身を見るパラダイム

2.私はあなたを見る
他人をモノとしてではなく人として見るパラダイム

3.私はあなたの考えを求める
他者を避けたり、他者に対して防御的な態度をとるのではなく、対立点を意識的に探すパラダイム

4.私はあなたとシナジーを起こす
攻撃が応酬されるサイクルに取り込まれず、これまでだれも考えたことのない解決策を探し出すパラダイム

これらは、「主体性」や「感情移入の傾聴」という『7つの習慣』に出てくる重要な原則がベースになっています。

さまざまな場面での第3の案

「第3の案」を探すためのパラダイムを示したあと、「職場」「家庭」「学校」「法律」「社会」「世界」の幅広い場面で、第3の案を実現したり、逆に二者択一思考を乗り換えられなかったりした具体例を解説します。

この中からいくつか、心に響いた一節を紹介します。

職場での第3の案

  • (「フット・イン・ザ・ドア」や「ローボール」などの)いかがわしい「交渉ゲーム」の時代はもう終わった。もはやだれもそんなものには耐えられない。
  • 普通はここで、お互いに相手の一手にわざと驚いてみせる。しかし私たちはシナジストである。シナジストにしてみれば、そのようなステップは子どもの遊びであり、時間の無駄である。

家庭での第3の案

  • お互いの違いを大切にせずに憎む、それが「性格の不一致」なのだ。
  • パートナー同士がお互いの違いを愛おしんで初めて、素晴らしい結婚生活が育まれていくのだ。
  • 自分の考えや期待を相手に押し付けるのは大きな間違いだ。家族を愛しているなら、まず家族一人ひとりを個人として見て、彼らの違いを理解しようとするだろう。

社会における第3の案

  • 私たちは自分の身体を機械のように見ている。調子が悪くなったら「修理」すればいいと思っている。(中略)しかし本当に必要なのは、自分は天賦の才を与えられた個人なのだと本心から思うことである。私たちは自分を全人格(肉体、情緒、知性、精神)としてとらえ、これらのかけがえのない天賦の才のすべてを養い、育てなければならない。

世界における第3の案

  • だれかの感情にパラダイムシフトを起こさせたいのなら、その人が戸惑うほど、その人の話に本気で耳を傾けなければなりません。

第3の案の人生

  • ある年齢になったら仕事を引退し、老後の人生を楽しむ。これがまさに多くの人々が望んでいることだ。なぜなら、この二者択一の視点から人生全体を見るように洗脳されているからである。
  • だがこれは、産業時代のマインドセットの社会から押しつけられた間違った二項対立である。(中略)いつか「機械」でなくなる日がきたら、幸せになれると思い込んでいる。その日から有意義な人生が始まると思っている。
  • 貢献のパラダイムを持っていれば、仕事をしていた年月も引退してからの年月も有意義なものになる。

ただのお人好し?など よくある疑問への答え

いくつかの疑問に、コヴィー博士は本の中ではっきり答えます。

感情移入による傾聴は対立を長引かせるのではないだろうか。

←私の考えと気持ちを理解することにかかる時間は、私と戦って無駄にする時間とは比較にならないほど短い。

感情移入というのは、思いやりである反面、ただのお人好しの側面もあるのではないか。

←感情移入による傾聴はけっしてお人好しの行為ではない。それどころか非常に現実的であり、感情移入による傾聴ができないと困ったことになる。(中略)堅固な決定は、(中略)すべての利害関係者を徹底的に理解できなければ下せない。

あなたがこのパラダイムを身につけていても、対立の相手がそうでなかったらどうだろう。

←たとえそのような相手でも、私が第3の案を一緒に探そうと促せば、態度を軟化させるはずだ。

私もふと、『7つの習慣』も『第3の案』も、「ただのお人好し」なのでは? 損してしまうのでは? と疑問を持つことがあります。

しかしコヴィー博士は、『7つの習慣』や『第3の案』の考え方こそが現実的なんだ、と断言します。

迷ったら、この断言を思い出すようにします。

「シナジスト」として生きられるか

この本の内容は、仕事や家庭といった身近なところから世界の貧困やパレスチナ問題まで多岐にわたり、1度や2度の通読ですべてを理解し実践するのは、私には不可能です。

まずは身近な「仕事と家庭」「親と子ども」の問題で、二者択一の解決法しか見えなくなったときにまた手に取ります。

そして、二者択一の思考を乗り越えて第3の案にチャレンジする、この本でいう「シナジスト」として生きられるか、この本と一緒に考えることにします。

以上、スティーブン・R・コヴィー博士の『第3の案』の紹介でした。

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