「ことば」と「思考」、「思想」の関係を、鈴木喬雄さんの著書『診断・国語辞典』から学びました。
「国語辞典批判の基調にある視点」の説明に出てきます。
この本は絶版のようですので、以下に内容を紹介します。
(一)ことばの問題は思考の問題である。
(二)ことばは単に言語次元だけのものではない。同時に、生活次元のものであり、思考次元のものであり、そして思想次元のものである。
(三)ボキャブラリーの貧困は思想の貧困である。この意味で、すぐれた文章家はすぐれた思想家である。
(四)書くことは考えることである。書くことによって思考がまとまる。書くことによって思想が深まる。
(五)辞書はことばの書である。同時に、辞書は人間の書である。
(六)辞書は、そのことばを使う人間の生活と思想を反映したものとみることができる。この意味で、日本語辞書は日本人の知情意の書である。日本人の喜怒哀楽の書である。日本人の真善美の書である。
(七)辞書には三つの機能がある。第一は、字引として役立つこと。第二は、文章の読解に役立つこと。第三は、文章を書くのに役立つこと。
見逃してならないのは、現行国語辞典が第三の機能に著しく欠けることである。(八)語義と用例は辞書の両輪をなす。用例が語義を補充する。
(九)従来の国語辞典は日本語の部品辞典である。どの部品とどの部品を組み合わせて完成品(センテンス)を作るかという図式は、ほとんど示されていない。
このため、単語を引くことには便利だが、フレーズやセンテンス作りについては、教えてくれない。(十)従来の国語辞典の構造はミクロ的な構造になっている。これにマクロ的なものを、どの程度加味してゆくか。これが今後の国語辞典の大きな課題である。
小4の息子は英会話教室に通っていますが、思想が貧困にならないために、まずは日本語をちゃんと学ぶことが大切なんですね。
幸いにも、息子は今のところ本や図鑑が大好きなようです。
この本は昭和60年(1985年)出版で、紹介した一説は昭和56年(1981年)の論文です。
私の愛する『角川必携国語辞典』(1995年初版)や、最新版の国語辞典への著者の批評を聞いてみたかった!
鈴木喬雄さんの愛用辞書は、この本によると『岩波国語辞典』と『三省堂国語辞典』とのこと。
また、1984年に初版が出た三省堂の『例解新国語辞典』(中学生向!)を高く評価しています。
『例解新国語辞典』は、『理科系の作文技術』の著者の木下是雄さんも『レポートの組み立て方』の中でよく使うとありました。
大人も要チェックですね!