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【2023年】学習英和辞典のおすすすめ7選 ▶

例解新国語辞典に学ぶ 誤解されやすいことば・新しい言いかたの12選

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中学生向け国語辞典の『例解新国語辞典 第十版』のうしろ見返しにある「誤解されやすいことば・新しい言いかた」の一覧から、特に「そうだったのか!」と学んだ項目を紹介します。

この一覧の説明文には、こうあります。

本来の意味を知りつつ、広まってきた新しい使い方にも敏感でいることが、思わぬコミュニケーションギャップを生まないためには大切です

なぜ誤解されやすいことばを学ぶ必要があるのか、よくわかります。

この説明文そのものが、例解新国語辞典の実力をあらわす名文に感じます。

目次
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特に学んだ12選

あくどい

1. やりかたがあまりにもひどい。[例]あくどい商売。2. 色や感じがどぎつくてくどい。
[注意]語源は「灰汁あくどい」または「あ(=接頭語)+くどい」で、2. が本来の意味をだが、「あく」が「悪あく」とまぎれた2. の意味で使う人が増えている。

あたりどし【当たり年】

1. 農作物の収穫が とくに多い年。[例]ことしはスイカの当たり年だ。2. ものごとがうまくはこんだ年。
[注意]1. で、「台風の当たり年」のように、ありがたくないことにいうのは本来は あやまり。

きとく【奇特】

他人の利益にはなっても、自分の利益にはならないことを、自分からすすんでするようす。[例]奇特な心ざし。奇特な人。[類]殊勝。
[注意]誤って、「奇特な人」を、わざわざしなくてもいいことをする変わった人、という意味で使う人が増えている。

さわり【触り】

1. 話や物語、曲の中の、いちばんいいところ。[例]触りだけを話す。[類]さび。2. 話や物語、曲の、はじまりの部分。[類]出だし。
[注意]1. が本来の意味だが、2. の意味で使う人が増えている。

敷居が高い

1. 義理を欠いているとか、知られるとはずかしいことがあるとかで、その人のところに行きにくい。2. 自分には立派すぎて、入りにくい。[例]高級レストランは庶民には敷居が高い。
[注意]1. が元の意味だが、2. の意味で使う人も多くなり、そこから、「敷居を下げる(=気軽に利用できるようにする)」のような使い方も生じている。

しゅくしゅく【粛々】

1. しずかに、おごそかに。[例]行列が粛々と進む。粛々たる態度。2. 何があってもいちいち反応せず、かわらない態度で。
[注意]1. が本来の意味だが、おもに政治家が「(辞任せず)粛々と職責を全うしたい」「(中止にせず)粛々と工事を進める」などと言うときには、2. に意味が移っている。

せいぜい【精々】

1. できるだけ。やや古風な言いかた。[例]本校の代表として、せいぜいがんばってきなさい。[類]精一杯。2. すきなだけ。相手を見くびって、皮肉としていう言いかた。[例]どうせだめだろうけれど、せいぜいがんばってね。3. 多くみつもっても。[例]出席者はせいぜい百人程度だろう。[類]たかだか。
[注意]1. のつもりで「せいぜいがんばってください」のように言うと、2. とまぎれて、「どうせだめだろうから期待していないけど」と皮肉を言ったように誤解されるおそれがあるので、いまは、「精一杯がんばってください」とか「ベストをつくしてください」のように言うほうがよい。

せいへき【性癖】※第十版で 語釈と[注意]加筆!

1. 人の性質上のくせ。[例]ものごとをなんでも大げさに言う性癖。[類]癖へき。2. 性欲の傾向。[例]異常性癖。
[注意]1. が本来の意味。
※第十版で2.の語釈と[注意]が新しく入りました。

たいりょう【大量】

量がとても多いこと。[例]大量につくる。大量生産。[対]少量。[類]多量。
[注意]「災害で大量の犠牲者が出た」のように、人に対して使うのは不適切で、「おおぜいの」「多数の」などを使う。

流れに棹さす

1. さおをたくみに使って、流れに乗って舟を進める。2. 時流に乗ってものごとを順調に進める。3. 時流やものごとの進行にさからう。[例]議論の流れにさおさす。
[注意]誤って、もとの1. の意味からでた2. とは正反対の、3. の意味で使う人が増えている。2. と3. は「時流にさおさす」や「時勢にさおさす」のようにも用いられる。

はなむけ

旅に出る人や遠く別れていく人に、心をこめておくるお金や品物、ことばなど。[例]卒業生へのはなむけのことば。はなむけに よせ書きを贈る。せめてものはなむけ。[類]餞別
[注意]旅立つ人が乗る馬の「鼻」を、目的地のほうに向けてあげたことにもとづくことばであって、「花」とまちがえて、「お祝い」の意味で使うのはあやまり。

令嬢

人のむすめをさしていう尊敬語。「おじょうさま」の意味の改まった言いかた。[例]社長令嬢。ご令嬢。[対]令息。[類]ご息女。
[注意]「良家のむすめ」という意味に誤解している人が多い。

明鏡国語辞典との比較

この12月に出たばかりの 明鏡国語辞典 第三版 の特長の一つは、誤用や気になることばを多く取り上げていることです。

この12個をチェックすると、以下についての注意は明鏡にはありません。

  • 粛々
  • せいぜい
  • 性癖
  • 大量
  • 令嬢

また、「あくどい」には「俗に『悪どい』とも書くが、誤り」、「当たり年」には「台風などの自然災害の多い年の意で使うのは誤り」とあるだけです。

なぜ誤りか、例解新国語辞典ならよくわかります。

例解新国語辞典は「なぜ問題か」がよくわかる

他に、「さわり【触り】」の「はじまりの部分」という使い方を、同時期に新発売の他の中学生向け国語辞典で引いてみました。

旺文社標準国語辞典 第八版
《俗語》とあるだけで説明なし

学研現代標準国語辞典 改訂第4版
この使い方の説明なし…

これらからあらためて、例解新国語辞典は説明がていねいでわかりやすく、使いやすい辞書だと感じます。

以上、『例解新国語辞典 第十版』からの学びの紹介でした。

(2021.1.22 第十版に更新)
(2020.4.7 公開)

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