「夢や目標と計画について。稲盛和夫さんは京セラで中期経営計画を立てなかった」の記事で、稲盛和夫さんが著書『働き方』にこう書いていることを紹介しました。
ゴールが遠すぎる目標というのは、往々にして挫折で終わることが多い
途中で反故になってしまうような計画なら、はじめから立てないほうがいい
では、全く無計画でいいのか。
続けて次のことばがあります。
私はそう考えて、京セラの創業当初から、たった一年だけの経営計画を立てるよう心がけてきました。
三年先、五年先となると、誰も正確な予想はできません。しかし、一年先なら、そう大きな狂いもなく読むことができるはずです。そして、その一年だけの計画を、月ごとの、さらには一日ごとの目標にまで細分化して、それを必ず達成できるように努めてきたのです。(p108)
確かに、一年先までなら実感を持って考えられそうです。
一方で、「目標」や「夢」についてはこう言います。
身のほど知らずの大きな夢であっても、気の遠くなるほどの高い目標であっても、それをしっかりと胸に抱き、まずは眼前に掲げることが大切なのです。(p78)
「一年だけの経営計画」と「大きな夢」や「高い目標」は、矛盾のように見えます。
この疑問への答えは、『京セラフィロソフィ』にありました。
目標だけは常に言っていました。ただし、言ってはいますが、そこに至るまでの道筋に脈絡がないわけです。ただ「今日一日、一生懸命に生きて一日が過ぎれば、明日は見えてくる・・・・・・」と言っているわけです。(p440)
「一歩一歩の積み重ね」と「高い目標を掲げなさい」というのは、一見矛盾しているようですが、そうではありません。矛盾しているように見えても、それを矛盾としては駄目なのです。あくまでも高い目標を立てながらも、一歩一歩、足元を見ながら堅実に歩くことが肝心なのです。
いつも高く掲げた目標ばかり見ていても駄目なのです。あまりにも遠い道のりを歩こうとすると飽きもするし、自分の力のなさを感じてしまって頓挫してしまいます。高く掲げた目標は潜在意識にしまっておいて、一日一日を着実に歩み続けると、とてつもない所まで歩いていけるものなのです。(p442)
稲盛さんの言わんとすることを、私はこうまとめます。
「大きな夢や目標を掲げよ
まずは今日一日を一生懸命に
計画を立てるのは一年先まで」
ビジネス書の古典『道は開ける』(デール・カーネギー)も、最初にこの一文から始まりますね。
今日、一日の区切りで生きよ
夢や目標を抱きつつも、目の前の一日だけを見て、今日一日の区切りで生きることは、古今東西に共通する生き方の原則のようです。
そして、「目標に至るまでの道筋に脈絡がない」でも、いいんです!
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