能率手帳の使い方を語るなら、元日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)会長の野口晴巳さんが書いた『能率手帳の流儀』はずせません。
特に私が思うこの本の真価は、手帳の使い方の本なのに、「人生を計画することなどできない」と断言しているところです。
この本から学ぶ手帳の使い方で、特に重要だと感じる内容を、要約として以下に紹介します。
「一日のできごと」「やったこと」を書く
手帳はToDoから入るよりも、まずやったことを書いてみればいい。
書くことによって一日を知らず知らずのうちに振り返ることができる。
もうちょっと何か書けることがあるかもしれない、そんな気づきが、次の一日を少し充実したものへと方向づけてくれる。
「やりたいこと」を書く
一日のできごとを書くことを習慣にしたら、今度はやりたいことを書く。
見たい映画、行きたい店、読みたい本、とにかく自分の好きなことや興味のあることだけ書く。
ToDoリストではない。
自主的にやりたいなぁと思うこと。
書く場所は自由。
「できないこと」を計画する
書くことで振り返り、できないことが気になったら、計画を立ててみる。
綿密な計画は立てない。
遠大な計画は書かない。
「ねばならぬ」ではなく、「ああしたい、こうしたい」を計画する。
例えばその目標を少し分解してみる。
あるいは単純に他の日に転記する。
手帳に書く計画とは、ビジネスの進行管理表などと違うやりたいことを書き出したリスト。
日記欄に書き込んで、無理なく実行する。
あまり大きな目標は書かない。
ささやかな目標をたくさん書いて、できたら消す。
それを頻繁に繰り返す。
「できもしないこと」は書かない。
「心の悲鳴」も書く
嫌なことも、悲しかったことも含めてあらいざらい手帳に書くことではじめて、自分の人生が投影される。
あらいざらい書いてみると、不思議とさっぱりする。
手帳で「重点化力」を鍛える
書きたいことが増えたときに悩ましいのは、限られたスペースにどれを書くかということ。
物理的に大事なことに絞らざるを得ず、これが重点化力を鍛える。
そこが好きなだけ書けるノートやメモ帳と違うところ。
手帳は「汚く」使う
仕事のスケジュールなど頻繁に変わる。
きちんと時系列に書くのは現実的でない。
きれいに書こうという固定概念から脱皮できたとき、はじめて自由に楽しく書ける。
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見られたら「恥ずかしい」ことを書く
立派なことを書こうとしない。
何を行動するか、具体的なことを書く。
〇〇までに資料を配布する、レポートを〇〇までに投函する、〇〇に電話、〇〇にあいさつする、この程度で十分。
抽象的、概念的なことをそのまま書こうとしない。
消せないペンで書く
社長になって5年たって、シャープペンからボールペンに変えた。
思ったより勇気と覚悟がいった。
最初は本当に手に汗握る思いで書いた。
すると不思議と自分に自信がついてきて、思い切って書けるようになる好循環が生まれてきた。
人生を「計画する」ことはできない
30歳になるまでに結婚して…、40歳で課長になって…、年収は…、なんて計画したところで思ったようには運ばない。
行き当たりばったりに生きるということではない。
今を大事にしよう、楽しもうという能動的な生き方。
目の前にあることをひとつひとつ達成していくことのほうが、よほど地に足がついている。
その他に参考にしているところ
- 仕事は「時間優先」で書く
- 昨日やったことを「朝」書く
- 年初は「思い」を見返しページに書く
- 左ページは時間管理、右ページは自由自在
などです。
まとめ
『夢実現の手帳術』でも、『一冊の手帳で夢は必ずかなう』のでも、ありません。
野口さんは繰り返し、次のように書いています。
「夢や目標は流行だからといって容易に掲げるものではない」p1
「明確な目標を描き出せるのはごく稀なケース」p32
「無理やり自分を納得させた目標は、不幸を招く」p33
「あまり大きな目標は挫折につながる」p33
「とてつもなく立派な目標は書かなくていい」p41
「綿密な計画は立てない」p126
「遠大な計画は書かない」p126
「できもしないことは書かない」p146
この本の発行は2007年。
当時の手帳本ブームの風潮に、よほどこの内容を伝えたかったのでしょう。
今回あらためて『能率手帳の流儀』を読み直して確認できたのは、「誰にでも、いまからできることしか書いていない」ことです。
これまで私は、渡邉美樹さん、熊谷正寿さん、佐々木かをりさんの手帳術本を読んでも実践できず、「7つの習慣プランナー」や「モチベーションシート」を使っても、長続きはしませんでした。
以上、能率手帳の使い方について『能率手帳の流儀』からの学びの紹介でした。
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