中村天風先生の本、『ほんとうの心の力』(中村天風)から、しあわせの本質をつく一節を紹介します。
幸福というものは、決して、現在の自分の環境が変わったとか、あるいは富の程度が変わったからということで感じるものではない。
なぜかというと、幸福というものは客観断定にあらずして、主観の断定にあるからです。はたからどんなに幸福そうに見えてもそれは幸福とは言えないんですよ。本人がしみじみ、ああ、私は幸せだと思えないかぎりは、本当の幸福を味わうことは出来ない。
それはちょうど、はたから見て、あの人間は金がありそうだな、と見えても、本人に金がなければ何もならないでしょう。はたから見て、あの人間は丈夫そうだな、と見えても、本人が丈夫でなければ何もならないのと同じことです。
はたから見て、どんなに幸福そうに見えても、あなた方の精神生命のあり方が、根本的に切り替えられない限りは、幸福は来ないのであります。
『ほんとうの心の力』は、10年以上前に読んだ本です。
それから何度か見返していますが、これまではこのことばの重みがわからなかったようです。
この内容を、いまの私にあてはめて考えます。
いま私がしあわせかどうかは、次のような客観的な事実では決まらない。
- 正社員、非正規社員、自営、無職
- 年収が平均より高い、低い
- 資産が平均より多い、少ない
- 既婚、未婚、離婚歴
- 子どもの有無
- 私の性別、容姿、健康、病歴、職歴、学歴
- 奥様の性格、健康、容姿
- 息子の性格、健康、成績、運動神経
- 親の事情、資産
しあわせは主観。
私が心の中で決めること。
ならば、
これまで、どんなことにしあわせを感じたか。
これから、何が起きればしあわせだろうか。
人生が終わるとき、どんな思いでいればしあわせだろうか。
そしていま、何をすればしあわせか。
こんなことを時にはじっくり考えると、なんだか楽しそうです!
稲盛和夫さんの本に、中村天風先生の次の教えがたびたび出てきます。
新しき計画の成就はただ不撓不屈の一心にあり。さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に。
この教えを稲盛さんはかつて京セラの経営スローガンとし、最近ではJAL再建で各職場に張り出しました。
実業界だけでなく、プロ野球の大谷翔平、王貞治、広岡達朗も天風先生に学んでいます。