元日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)会長の野口晴巳さんが、著書の『能率手帳の流儀』に夢や目標について、
- 明確な目標を描き出せるのはごく稀なケース
- 無理やり自分を納得させた目標は、不幸を招く
- あまり大きな目標は挫折につながる
- とてつもなく立派な目標は書かなくていい
- 綿密な計画は立てない
- 遠大な計画は書かない
- できもしないことは書かない
と、これでもかと書いていることを「能率手帳の使い方 元JMAM会長の野口晴巳さんの場合(究極の逆説「人生を計画することなどできない」とは)」の記事で紹介しています。
ここでふと、稲盛和夫さんが「京セラでは長期の経営計画を立てない」と書いていたことを思い出しました。
『働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」』のP106以下です。
京セラという会社は、これまで長期の経営計画を立てないでやってきました。
なぜ、長期計画を立てないか。
それは遠くを見る話というのは、たいていウソに終わるからです。
「何年後には売上をいくらにして、人員はどのようにして、設備投資はこうして・・・・・・」といった青写真をいくら描いても、必ず、予想を超えた環境の変化や、思いもかけない事態が起こります。そして計画変更や下方修正を余儀なくされ、ときには計画そのものを放棄しなくてはいけなくなってしまうのです。
こうして計画変更が続くと士気や意欲を削ぐ、と言います。
また目標が遠大であるほど途中で萎えたり妥協したりしてしまう、とも言います。
人間の心理的な側面からも、目標に至るプロセスが長すぎる、つまりゴールが遠すぎる目標というのは、往々にして挫折で終わることが多いものなのです。
途中で反故になってしまうような計画なら、はじめから立てないほうがいい。
日本を代表する大企業の京セラが長期計画を立てなかったとは、驚きです。
そういえばヤマト運輸の小倉昌男さんも、著書の『小倉昌男 経営学』で、「ダントツ三カ年計画」という経営計画を3回繰り返し9年間行ったが、いずれもこれで良いというところまで行かなかったことを書いています。
私はこれまでビジネス書を読んで、「3~5年先までの計画を立て、年間、月間、週間、一日の計画に落とし込む」とあるのを読むと、なるほどその通りと思ってきました。
代表は、『夢に日付を! ~夢実現の手帳術~』(渡邉美樹)です。
そして2008年に一度、〇〇歳で年収~、〇〇歳で年収~、〇〇歳で年収~、と手帳に書いたことがあります。
この後、まさか1年後に転職を決めるとは思っていませんでした。
年収目標の結果も未達。
以後、手帳に〇〇年後に~、〇〇年後に~、という目標を書いたことはありません。
いまはっきりわかったのは、5年後、3年後の計画を立てて実践するという、稲盛和夫さんや小倉昌男さんができないことを、私にできるわけがなかったということです。
ちょうど新年を迎えるにあたり、これからは「夢や目標を実現するための3~5年の計画を立て、一日に落とし込む」という考え方を、やめることにします。
ではそんな稲盛さんがどうやって、京セラやKDDIを世界的な企業にし、JAL再建ができたのか。
そしてそこから学ぶことは何か。
こちらに続きを書いています。
>>>夢や目標と計画について(稲盛和夫さんは大きな夢を掲げ、一年だけの計画を立て、一日だけを懸命に生きた
>>>今の京セラには中期経営計画がある?
現在の京セラのIR資料を見ると、2017年度に現社長のもと「2021年3月期 売上2兆円 税引前利益率15%」という経営計画を立てているようです。
これ以前のIR資料には中期経営計画は見当たりません。
稲盛さんが経営の第一線を退いているからでしょうか。
京セラがこの計画を実現できるか、注目です。
>>>紹介図書のチェックはこちら!!
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