岩波書店・三省堂・大修館書店など、国語辞典や英和辞典の大手出版社でつくる「辞典協会」が、書店の辞書コーナー向けに「中学生のためのおススメ辞典」「高校生のためのおススメ辞典」というPOPを作成しています。
このPOPでの中学生向けの国語辞典のおすすめはこちら。
高校生向けの国語辞典のおすすめはこちらです。
なるほど。
辞書選びの参考にはなりますが、気になる点がいくつかあるのでまとめます。
三省堂
意外なのは、三省堂の高校生のためのおすすめが『新明解国語辞典』なことです。
唯一の高校教科書密着型辞典という『三省堂現代新国語辞典』ではない。
わかりやすい解説が売りの『三省堂国語辞典』でもない。
『新明解国語辞典』の「日本で一番売れている国語辞典!」というキャッチコピーを死守するための、営業上の選定でしょうか。
なんだかんだ言っても高校入学時に大人になっても使える国語辞典を買って、それ以降は国語辞典を買わない人が多数派なのでしょう。
純粋に高校生の学習用の国語辞典としての気くばりは、『新明解国語辞典』より『三省堂現代新国語辞典』の方が優れているように感じます。
類義語比較、評論文キーワード、作家名と作品名の収録、敬語の概要説明、漢字の書き順、手紙の書き方など、『三省堂現代新国語辞典』の方が学びの要素が詰まっています。
小学館
中学生向けも高校生向けも、2022年2月に第十版が発売になった『新選国語辞典』としています。
2021年のおすすめでは高校生向けは『現代国語例解辞典』だったのが、変更になりました。
『新選国語辞典』は初版の編者のことばに「中学生・高校性の学習用辞典」という文言がありますが、コンパクトなサイズに94,000語の収録が魅力な分、一語一語の説明や用例は少ないです。
今となっては無理に中学生向けとはせず、岩波書店・旺文社・大修館書店のように中学生向けはなしで高校生向けのみに『新選国語辞典』としたほうがスッキリすると思います。
ベネッセ
『ベネッセ表現読解国語辞典』は他の辞書と編集方針が全く違うので注意したいところです。
大学受験の文章読解や小論文対策に力を発揮する一方、日常生活に実用的な辞書ではありません。
文学史に登場する作家名や作品がない国語辞典
高校生のためのおススメ辞典の『岩波国語辞典』『学研現代新国語辞典』『新明解国語辞典』『現代国語例解辞典』『明鏡国語辞典』『ベネッセ表現読解国語辞典』には、文学史に登場する作家名や作品名(清少納言、夏目漱石、枕草子、坊っちゃんなど)が項目にありません。
選ぶなら、この点に注意が必要です。
私のおすすめ
中学生には『例解新国語辞典』。
高校生には『旺文社国語辞典 小型版』。
一般・社会人向けで、一番好きなのは『角川必携国語辞典』です。
家族のリビングには『広辞苑』をどうぞ。
以上、中学生・高校生の国語辞典選びの参考になれば幸いです。
(2022.12.25 2022年版に更新)
(2021.4.19 2021年版に更新)
(2020.4.5 公開)