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『GIVE & TAKE』書評:成功するギバーと失敗するギバーの違い

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GIVE & TAKE

ずっと気になっていた本『GIVE & TAKE』をじっくり読んでみました。

内容はアメリカの心理学者による、ビジネス成功し周りからも愛されるのは、受けとる以上に与えようとする「ギバー」であり、一方で失敗に終わる「ギバー」もいて、その違いは何か、という研究です。

期待通りとてもおもしろかったので、以下に紹介します。

目次
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「ギバー」「テイカー」「マッチャー」とは?

著者のアダム・グラントはアメリカの組織心理学者で、人間を次の3つタイプに分けて考察します。

  • ギバー … 受けとる以上に与えようとする
  • テイカー … 与えるより多くを受けとろうとする
  • マッチャー … 与えることと受けとることのバランスをとろうとする

ある調査によると、親密な人間関係ではたいていの人がギバーとしてふるまうそうです。

しかし仕事では、多くの人がギバーテイカーマッチャーのうちどれか一つになる、と著者はいいます。

そして調査の結果、エンジニアで生産性高いのも低いのも「ギバー」で、医学生で成績いいのも悪いのも「ギバー」であったとのこと。

そこから著者は、成功するギバーと失敗に終わるギバーは何が違うのかを解き明かします。

また、心理学の研究結果やアメリカ社会での実例を元に、ギバービジネスでも成功できることを論理的に教えてくれます。

ギバーがビジネスで成功するためには

著者はギバーを、「自己犠牲」と「他者志向」の2つのタイプに分けます。

そして成功するギバー「他者志向」で、自己の利益と他者の利益を同時に目指している、と言います。

「他者志向」になるということは、受けとるより多くを与えても、けっして自己の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである (p255)

自己犠牲」だけでは、いずれ燃え尽きるとのこと。

心理学者の調査では、与えることによって気力が回復するのは、義務感からするのではなく、楽しく有意義だと感じる場合にかぎることが証明されています。

またギバーが自己主張もできるようになるために、チームや家族のなど他者利益守ると考えることを著者はすすめます。

ギブ・アンド・テイクの形は一つではない

相手テイカーだとわかったらマッチャーになるべき、と著者は主張します。

こう言います。

成功するギバーは、どうせ私は利用されてもいいのだと決めてかかったりしない。人に惜しみなく与えること自体が危険なのではなく、誰に対しても、たった一つのギブ・アンド・テイクのやり方で対応することのほうが、よっぽど危険なのだ (p328)

相手がテイカーかどうかの見分け方も、調査結果を紹介しています。

例えばテイカーのCEOは、他の経営幹部よりはるかに高い報酬を得ていたり、年次報告書に自分顔写真大きく載せていたりする。

またフェイスブックのプロフィールページではテイカーは、「ナルシスティックな、実物以上によく見える写真を投稿」しているそうです。

一方組織では、ギバーよりもテイカーになる人が多いのは、「順位づけを義務づけている企業」や「相対評価で成績を決め、必要以上の成果を求める学校」とのこと。

注意したいですね。

ギバーのコミュニケーション法

もう一つおもしろいと感じたのは、ギバーのコミュニケーション法です。

ギバーはたいてい控えめな言葉を使って話し、また心理学の研究でも控えめ話し方の方が影響力を発揮できるとのこと。

「強引な話し方をせず、不明な点があれば明らかにし、人のアドバイスを喜んで受け入れる」という、「ゆるいコミュニケーション」を著者はすすめています。

まとめ

「ギバー」でいることの大切さを説く本は、これまでにも多々あります。

この本が独特なのは、心理学者が学術的な研究と豊富な実例から、「ギバー」がアメリカのビジネス社会でも成功していることや、ただ「ギバー」でいるだけでは失敗に終わることを解き明かしている点です。

著者が主張する「ギバー」がビジネスでも成功するポイントは、この2つです。

  • 「自己犠牲」ではなく「楽しく」「有意義」だと感じるギブすること
  • 「テイカー」には「マッチャー」として接すること

自分のこれまでの仕事を振り返ると、明らかにテイカーだった人とうまく付きあえなかったことが思い浮かびます。

また、すぐコストパフォーマンスを考えたり、有料のセミナーに参加して費用元を取ることばかり考えたりすることは、マッチャー的な思考なんだな、と反省します。

以上、組織心理学者のアダム・グラント著 『GIVE & TAKE』の紹介でした。

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