タイトルの「何がリアルか」は、息子が愛読している「毎日小学生新聞」の中の「15歳のニュース」にある、フジテレビのテラスハウスに関するニュースの見出しです。
記事全文はこちら。
フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレス選手、木村花(きむらはな)さん(22)が23日に急死した。時に100件にも及(およ)んだというSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上での激しい個人攻撃(こうげき)に傷つき、悩(なや)んでいた。ネットの匿名(とくめい)投稿(とうこう)が持つナイフのような側面に、改めて注目が集まっている。
元女子プロレスラーの長与千種(ながよちぐさ)さんはツイッターで「これからの選手 これからのプロレスラーだった。(テラスハウスで)悪役を演じただけ。本当の彼女(かのじょ)は礼儀(れいぎ)も優しさも兼(か)ね備(そな)えた後輩(こうはい)でプロレスラーだった」と悼(いた)んだ。
親があれこれ言うよりも、こういう記事を子どもに自然に読ませてくれるので、毎日小学生新聞はありがたいですね。
このニュースについて、愛読している電子レンジャーさんのブログにあるこちらの記事に刺激をいただきました。
私もこのニュースから、息子と一緒に考えて学んでおきたいことが3つあります。
私自身も忘れがちなので、日頃から気をつけていたい内容です。
何でも疑ってかかるクセをつける
1つ目は、テレビ番組に限らず、新聞・雑誌・本やインターネットから流れてくる情報を、何でも一度は疑うクセをつけることです。
特にCMなどの広告がある情報は、必ず背後にスポンサーがいて、視聴率や発行部数、ページビューなどの数字を稼ぐために編集されていることを意識する習慣です。
特にテレビは最近ワイドショーでも、ある医師の新型コロナウイルスへのPCR検査をやみくもに増やすべきではないというコメントが、検査を増やすべきであるかのように編集されたことが問題になりました。
これも現状への危機感をあおり、視聴率を上げるための編集でしょう。
あらゆる情報についてそのまま正しいとせず、つなたくとも一度「自分の頭で考える」ことを習慣にしないと、情報の発信者の思うままに操作されてしまいます。
今回は、テレビ番組で描かれた一人の若い女性の姿が「リアル」かどうか疑わない人の誹謗中傷が集まってしまった、悲しいニュースだなと感じます。
※「何でも疑ってかかるクセをつける」ことは、東大の柳川範之教授の『東大教授が教える独学勉強法』から学びました。
※「人のあたまで考える」は、ちきりんさんのベストセラー「自分の頭で考えよう」からの学びです。
供給者の論理に落ち込むな
2つ目は、私たちは資本主義の社会に生きていて、ここでは商品やサービスを供給する側の論理があふれていることです。
やせなければモテない、シミを消さなければ恥ずかしい、塾に行かなければいい大学に入れない、英語を使えなければいい就職ができないなど、正しい内容が一部はあるとしても、求め過ぎればきりがなく、お金を浪費することばかりです。
そして「供給者の論理」は消費者だけでなく、供給する側の倫理やモラルをも時に見失わせます。
今回のニュースも、テレビ業界やプロレスというショービジネスの供給者の論理が、供給する側にいた木村花さんを追い詰めた一面があるように感じます。
※「供給者の論理に落ち込むな」は、野口悠紀雄さんの『「超」英語法』の中にある言葉です。英会話学校のセールストークは供給者の論理だと一刀両断にします。
楽観主義であること
3つ目は、上の2つとは矛盾するようですが、他の人との関わりでは猜疑心に固まることなく、人は基本的にお互いに信じ合えて助け合えるもの、という楽観主義でいることです。
そうでいるからこそ、他者と社会と接する経験を広く積むことができます。
そしてこの経験からしか、他者や社会を見る目は養えず、他者を通じて自分を知ることもできないと考えます。
結果として、「自分の頭で考える」力もつかないことでしょう。
※「楽観主義であること」は、山岸俊男さんが『安心社会から信頼社会へ』の中で出てきます。楽観主義であることが社会的知性を養うとあります。
以上、フジテレビの番組「テラスハウス」のニュースから、小学生の息子と一緒に学びたいことのまとめでした。
「何がリアルか」は、これからもますます自分の頭で考えていくことが必要な課題です。