岩波国語辞典について当ブログやツイッターで書いて気になっていたことが、最新の第八版でどうなっているかをまとめました。
目次
「介護」の語釈
・第八版
高齢者・病人・障害者など日常生活に支障のある人を助けること。「老老ー」▽看護より広く、日常生活の援助、財産の管理なども含めて言う。
・第七版
身体や精神が健全でない状態にある人の行為を助ける世話。「寝たきり老人のー」(▽以下は同じ)
医療や介護分野の現代の教科書の定義を踏まえた語釈になった印象です。
毎日新聞校閲記者ブログさんの記事にある「介護用語集を買ってきて検討」の反映の一つでしょうか。
注記(▽)は変更なく、「看護」との違いを意識できます。ここが残ってうれしい。
記事はこちら
介護と看護の違いがわかる国語辞典は? 18種の比較と評価
多種多様な国語辞典を評価する一つの指標として、「介護」と「看護」の意味の違いがわかるか、主に高校生以上向け国語辞典の18種を比較しました。 というのも、高齢化が…
「うんこ」
第7版で項目になかった、「うんこ」も「うんち」も立項されました!
『うんこ漢字ドリル』の影響で、単なる幼児語から格上げのようです。
記事はこちら
「うんこ漢字ドリル」は有名ですが「うんこ」は国語辞典にあるのか?
お湯を沸かしていた時、ふと、「あっちんちんだー」とつぶやいたら、奥様から「変なことばを使わないで!」っと怒られました。 くやしいので、愛する『角川必携国語辞典…
日産のニュースで気になったことば
「アライアンス」なしで、「ガバナンス」ありです。
「コーポレートガバナンス」は「ガバナンス」の用例に入りました。
「アライアンス」はまだ「百年の日本語」ではない、ということですね。
記事はこちら
三省堂国語辞典の新語の強さが日産のニュースでわかりました
連日、日産のゴーン会長逮捕のニュースが流れています。 国語辞典のおもしろさにはまっている私は、ニュースの内容以上に、西川社長が記者会見で話した「アライアンス」…
いきる
岩波国語辞典にも注記(▽)に「『息』と同語源」とあります。
第八版にもこの注記が残っていてうれしい。
語釈の区分
このツイートの内容です。
・第八版
①経済恐慌などの場合、国家が債務の履行の一定期間延長を認めること。支払猶予。②当面の実施を中止すること。「核実験ー」③比喩的に、社会人となるべき自信がなく、大学の卒業などを延ばしていること。「ー人間」
・第七版
経済恐慌などの場合、国家が債務の履行の一定期間延長を認めること。支払猶予。比喩的に、社会人となるべき自信がなく、大学の卒業などを延ばしていること。「ー人間」
辞書の冒頭にある凡例の説明2にも、「その語の現象的な意味をいちいち細かく分けて説明するよりも、基本的な意味を明らかにするようにした」とあります。
「核実験モラトリアム」を入れるための変更なのでしょうが、「わかりやすく」なったのか、「いちいち細かく分けて説明する」ようになったのか、もっと使い込んでから考えたいと思っています。
以上、岩波国語辞典 第8版の情報でした。
■ながさわさんのレビュー。いつも詳しくてありがたい!
?˂Ƃ??
?y???Ԃ???{?ő????r???[?z???肻???łȂ??????u??엘?v?ɓ??{???Ή?!??@10?N?Ԃ?ɉ??????ꂽ?w??g???ꎫ?T?x?͂??????X?…
???s???҂??]?܂?Ă????w??g???ꎫ?T?x?i?w?⍑?x?j??10?N?Ԃ?̉????łł????8?ł??A????2019?N11??22???A???ɏ??X?ɕ??т܂????B????2?J???O?̂??ƁA???͐_?ے??u?b?N?t?F?X?e?B?o???̉??ɂ??܂…
■毎日新聞 校閲記者ブログの紹介記事です。
毎日ことばplus
10年ぶり改訂の岩波国語辞典 何が変わった? 編集者に聞いた
格調高くシンプルな作りの「岩波国語辞典」。10年ぶりの改訂となる第8版(11月22日発売)は、いったい何が変わったか。また“岩国”とはどういう辞書なのか。担当編集者に聞…
毎日ことばplus
“辞書のつくり方” 岩波国語辞典の編集者に聞いた
「広辞苑に『できちゃった婚』を載せなかったのは正解だった」。新しい岩波国語辞典第8版について編集担当のお二人に伺った話は、言葉の「定着」の判断や、辞書の校正の苦…
あわせて読みたい
国語辞典のおすすめ9選 愛好家や作家の評価と愛用辞書から
さまざまな国語辞典の中で、愛好家や作家などその道のスペシャリストが評価や愛用している辞書から、社会人・大学生などの大人向けでおすすめはどれなのか。 一般向けか…
あわせて読みたい
岩波国語辞典の「介護」の語釈がなぜ充実しているのか考察しました
『岩波 国語辞典 第八版』は、「介護」と「看護」の違いがわかるかどうかの各種辞書の比較で、語釈の充実ぶりを見せてくれました。 この実力の理由がわかるエピソードが…
あわせて読みたい
角川必携国語辞典の魅力は「つかいわけ」の解説と漢字・古語・百科語との融合
井上ひさしさんのおすすめ*1で愛用してきた『角川必携国語辞典』は、1995年の初版発行から改訂がないため、一般向けから中学生向けまでの主要な小型国語辞典17種*2をそ…
あわせて読みたい
国語辞典の使い分け 私がよく引く7種とその目的を紹介します
一口に「国語辞典」といっても、実はそれぞれに独特の個性があり、目的に応じて使い分けたり見比べたりすると楽しいものです。 多様な国語辞典の中で、私が引くことの多…