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「介護」と「看護」の違いがわかる国語辞典はどれだ? 小型から大型まで17種の比較と評価。

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小型から大型まで、国語辞典17種の比較を、「介護」と「看護」の意味の違いがわかるか、でしてみました。

 

結論からいうと、小型辞典の『岩波国語辞典』がNo.1です。断トツおすすめです。中型辞典の『広辞苑』『大辞林』や、最高権威とされる大型辞典の『日本国語大辞典』をはるかに凌駕しています。感動的です。

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「介護」と「看護」の意味の違い

これを正しく知ることは、現代の日本で暮らす上で役に立つと思います。

たとえば、家族や自分の健康に何かあったとき、老人ホームや障害者施設で「介護」を受けるのか、病院で「看護」を受けるのか、または自宅で「在宅介護」と「在宅看護」のサービスのどちらが必要なのかなど、理解を助けてくれます。

 

まずは違いについて、以下のパナソニックさんのサイトの解説がわかりやすいです。

sumai.panasonic.jp

介護は「日常生活を安全かつ快適に営むためのサポート」がメインで、介護福祉士やヘルパーなどの資格を持った福祉の専門の資格を持ったものが、看護は「病気や怪我などの治療や療養のサポート」がメインで看護師や保健師などの医療の専門の資格を持ったものがサービスを提供します。 

 

専門の事典の解説はどうでしょうか。

■看護・医学事典 第7版増補版(医学書院 2015)

[介護]障害者や高齢者など、自立した日常生活を送ることに支障を来している人に対し、日常生活の介助や、問題行動の予防、機能訓練の援助、および輸液や褥瘡予防、吸引、在宅酸素療法や人工呼吸管理などの医療関連行為などの援助を行うこと。

[看護]一般には、病をもつ人、弱い状況(身体的・精神的・社会的)におかれた人の手当て、援助をすること。(中略)わが国では、看護は看護職の行う業務として、保健師助産師看護師法において「療養上の世話」と「診療の補助」が定められている。 

 

ざっくり言うと、

「介護」は日常生活を送るための世話や援助

「看護」は療養上の世話と診療の補助

ということですね。


さて、国語辞典の「介護」の語釈を調べました。以下の通りです。
 

各辞典の語釈

1)小型辞典

■岩波国語辞典(岩波書店)第7版新版
身体や精神が健全でない状態にある人の行為を助ける世話。▷看護より広く、日常生活の援助、財産の管理なども含めて言う。

■新明解国語辞典(三省堂)第7版
[←介抱看護]衰弱し切った病人・けが人や重度の身体障害者、また寝たきり老人などに常時 付き切りで、その生活全般の面倒を見ること。
※「←・・・」は「・・・から来た、・・・の略」の意。

■三省堂国語辞典(三省堂)第7版
[高齢者・障害者]などの日常生活の世話をすること。

■明鏡国語辞典(大修館書店)第2版
病人や心身に障害のある人に付き添って日常生活の世話をすること。

■新選国語辞典(小学館)第9版
医師や看護師以外の者が病人・障害者・高齢者の世話をすること。

■新潮現代国語辞典(新潮社)第2版
病人などの介抱をして日常生活を助けること。

■集英社国語辞典(集英社)第3版
(病人・老人などの)介抱や世話・看護をすること。

■旺文社国語辞典(旺文社)第11版
病や高齢で身体の不自由な人などの看護や世話すること。

■現代国語例解辞典(小学館)第5版
病人や心身に障害の人などを介抱し看護すること。

■角川必携国語辞典(角川学芸出版)初版
病人や老齢者など、心身の不自由な人の看護や世話をすること。

■学研現代新国語辞典(学研)第6版
[自宅で療養している病人や老齢者などの]介抱や看護をすること。ケア。

■三省堂現代新国語辞典(三省堂)第6版
[自立できない高齢者や病人の]介抱や看護をすること。

■小学館日本語新辞典(小学館)初版
病人など介抱したり看護したりすること。

 

2)中型辞典

■広辞苑(岩波書店)第7版
高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること。

■大辞林(三省堂)【2019.9.5発売 第4版】
高齢者・病人などを介抱し世話をすること。

■学研国語大辞典(学研)第2版
[自宅で療養している病人や高齢者などの]介抱や看護をすること。

 

3)大型辞典

■日本国語大辞典(小学館)第2版
(「介」はかいぞえする、たすけるの意)病人や老人を、日常生活の身体的困難などに対して補助したり看護したりすること。


考察

新明解国語辞典の説明などから、「介護」ということばは「介抱」と「看護」の組み合わせからできたようです。

それが、老人福祉法が制定(1963)されたり、介護福祉士という国家資格ができる(1987)中で、現在は上の看護・医学事典(医学書院)のように定義されてきたのでしょう。

もともとことばとしては「介護」に「看護」を含んでいたしても、現在の定義に違いがあれば、辞書でわからなければならないと思います。「介護」の語釈に「看護をすること」と書いてあったら、違いがわかりません。


残念な辞書

集英社国語辞典、旺文社国語辞典、現代国語例解辞典、角川必携国語辞典、学研現代新国語辞典、三省堂現代新国語辞典、小学館日本語新辞典、学研国語大辞典、日本国語大辞典では、「介護」と「看護」の違いがわかりません。

学研現代新国語辞典は、類義語の使い分けという囲み記事を設けて、次の説明があります。

[介護・看護]病人をかいがいしく介護(看護)する
[介護]介護保険/在宅介護/介護サービス
[看護]完全看護の大学病院/看護師/看護学 

しかしながら、「在宅看護」や「訪問看護サービス」ということばがあります。この説明では意味がありません。

学研国語大辞典は1988年の発行ですが、介護福祉士の国家資格ができた1987年には「介護」の定義がされていたと思いますので、違いを書いて欲しかった。

最高権威とされる全13巻の日本国語大辞典で、「介護」は第3巻にあり2001年に発行されています。それで、この語釈とは、いかがなものでしょうか。


評価できる辞書

岩波国語辞典が素晴らしいです。現在、「介護」の世話は、「看護」における世話の範囲より広くなっていることが、この中で唯一わかります。ぶっちぎりのNo.1でしょう。

三省堂国語辞典は、あっさりした語釈ですが、正確です。さすが現代語に強い。

ほかは、明鏡国語辞典新潮現代国語辞典広辞苑大辞林

新明解国語辞典は、やはり独特ですね!「看護」としていないところはいいのですが、デイケアや入浴サービスのような一時的な「介護」もあると考えると、この語釈は疑問です。

新選国語辞典も独特で工夫があると思います。しかしこの語釈では、なぜ医師と看護師の世話が「介護」でないのか、わかりません。

 

感想

各国語辞典の個性がよく出ていると思います。以下気づいたことをいくつか。

・同じ岩波書店でも、小型の岩波国語辞典の方が、中型の広辞苑より詳しい。サンキュータツオさんが言う通り、広辞苑は「国語辞典的百科事典」(『国語辞典の遊び方』 角川文庫 p72)であり、"実は小型辞典の方が活きたことば、一般項目ががたくさん載っている"(同 p71)のだろう。

・小学館では、日本国語大辞典、小学館日本語新辞典、現代国語例解辞典が同じ系列。同じ小学館でも新選国語辞典は別物。

 ・同じ三省堂でも、4つの辞書の語釈はみな違う。特に新明解国語辞典はやはり独特の語釈だった。

 

楽しい国語辞典遊びでした。これまで愛用していた角川必携国語辞典にかわり、岩波国語辞典が愛用No.1になりそうです。

 

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