しあわせ情報室

「知識は人をしあわせにする」をテーマに、本・辞書・手帳・子育てなどについて発信するブログです。

おすすめ記事
国語辞典と英和辞典の比較記事の一覧
能率手帳を愛用する著名人
BMW  アクティブツアラー F45 218i
スポーツ選手27人の親の関わり

介護と看護の違いがわかる国語辞典は? 17種の比較と評価

岩波国語辞典第8版と新明解国語辞典第8版

(2020.11.20 新明解国語辞典を第8版に更新 加筆修正)
(2019.11.26 岩波国語辞典を第8版に更新 加筆修正)
(2019.9.7 大辞林を第4版に更新)
(2019.8.31 公開)

国語辞典の小型から大型までの17種を、「介護」と「看護」の意味の違いがわかるかで比較してみました。

 

結論からいうと、小型国語辞典の『岩波国語辞典 第八版』と『新明解国語辞典 第八版』が、いまの世情に通じていて違いがよくわかります

中型辞典の『広辞苑 第七版』や『大辞林 第四版』、最高権威とされる大型辞典の『日本国語大辞典』の内容を超えています。

 

<スポンサーリンク>

 

 

「介護」と「看護」の違いを専門事典とネットの情報から

 

介護と看護の違いを正しく知ることは、現代の日本で暮らす上で役立ちます。

たとえば、家族や自分の健康に何かあったとき、老人ホームや障害者施設で「介護」を受けるのか、病院で「看護」を受けるのか。

または自宅で「在宅介護」と「在宅看護」のサービスのどちらが必要なのかなど、理解を助けてくれます。

 

看護・医学事典 第7版増補版(医学書院 2015)

 

専門の事典の解説です。

 

[介護]障害者や高齢者など、自立した日常生活を送ることに支障を来している人に対し、日常生活の介助や、問題行動の予防、機能訓練の援助、および輸液や褥瘡予防、吸引、在宅酸素療法や人工呼吸管理などの医療関連行為などの援助を行うこと。

[看護]一般には、病をもつ人、弱い状況(身体的・精神的・社会的)におかれた人の手当て、援助をすること。(中略)わが国では、看護は看護職の行う業務として、保健師助産師看護師法において「療養上の世話」と「診療の補助」が定められている。 

 

 

パナソニックのサイトの解説

 

ネットの情報ではどうでしょか。
パナソニックのサイトの解説がわかりやすいです。

そもそも「介護」と「看護」って、何が違うんですか? | みんなの介護相談 Q&A | パナソニックのエイジフリー | Panasonic

 

介護は「日常生活を安全かつ快適に営むためのサポート」がメインで、介護福祉士やヘルパーなどの資格を持った福祉の専門の資格を持ったものが、看護は「病気や怪我などの治療や療養のサポート」がメインで看護師や保健師などの医療の専門の資格を持ったものがサービスを提供します。 

 

看護・医学事典とパナソニックのサイトの内容をざっくり言うと、

  • 「介護」は日常生活を送るための世話や援助
  • 「看護」は療養上の世話と診療の補助

ということですね。

 

各国語辞典の「介護」の語釈

 

国語辞典の「介護」の語釈を調べました。
以下の通りです。

 

1)小型辞典

 

岩波国語辞典(岩波書店)第8版

高齢者・病人・障害者など日常生活に支障のある人を助けること。「老老ー」 ▽看護より広く、日常生活の援助、財産の管理なども含めて言う。

 

新明解国語辞典(三省堂)第8版

[←介抱看護] 病人・けが人や身体障害者、また高齢者などに医療・看護の支援を行なったり 日常生活の面倒を見たりすること。「ー保険・在宅ー・老人ー」
※「←…」は「…から来た、…の略」の意。

 

三省堂国語辞典(三省堂)第7版

[高齢者・障害者] などの日常生活のせわをすること。「ー保険制度」

 

明鏡国語辞典(大修館書店)第2版

病人や心身に障害のある人に付き添って日常生活の世話をすること。「在宅ー」「ー保険制度」

 

新選国語辞典(小学館)第9版

医師や看護師以外の者が病人・障害者・高齢者の世話をすること。※用例なし。

 

新潮現代国語辞典(新潮社)第2版

病人などの介抱をして日常生活を助けること。「ー保険」

 

集英社国語辞典(集英社)第3版

(病人・老人などの)介抱や世話・看護をすること。「ー者」

 

旺文社国語辞典(旺文社)第11版

病や高齢で身体の不自由な人などの看護や世話すること。「自宅ー」「ー施設」
 

現代国語例解辞典(小学館)第5版

病人や心身に障害の人などを介抱し看護すること。「老老介護」

 

角川必携国語辞典(角川学芸出版)初版

病人や老齢者など、心身の不自由な人の看護や世話をすること。「自宅ー」

 

学研現代新国語辞典(学研)第6版

[自宅で療養している病人や老齢者などの]介抱や看護をすること。ケア。

 

三省堂現代新国語辞典(三省堂)第6版

[自立できない高齢者や病人の]介抱や看護をすること。「ー用品・ーサービス。ー保険制度」

 

小学館日本語新辞典(小学館)初版

病人など介抱したり看護したりすること。(例)自宅で高齢の母親を介護する。

 

2)中型辞典

 

広辞苑(岩波書店)第7版

高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること。※用例なし。

 

大辞林(三省堂)第4版

高齢者・病人などを介抱し世話をすること。「ー人」「老母をーする」

 

学研国語大辞典(学研)第2版

[自宅で療養している病人や高齢者などの]介抱や看護をすること。「(ネフローゼ・小児ゼンソクナドノ病気ハ)治療が長く、経済的問題のほか、ーの人手を要するため、家庭に与える金銭、精神面の負担が大きい…<四七・一〇・三・毎日朝>」

 

3)大型辞典

 

日本国語大辞典(小学館)第2版

(「介」はかいぞえする、たすけるの意)病人や老人を、日常生活の身体的困難などに対して補助したり看護したりすること。

 

考察

 

新明解国語辞典の説明などから、「介護」ということばは「介抱」と「看護」の組み合わせからできたようです。

それが、老人福祉法が制定(1963)されたり、介護福祉士という国家資格ができる(1987)中で、現在は上の看護・医学事典(医学書院)のように定義されてきたのでしょう。

もともと言葉としては「介護」に「看護」を含んでいたしても、現在の定義に違いがあるならば、国語辞書にはその違いを反映していてほしいものです。

「介護」の語釈に「看護をすること」と書いてあったら、違いがわかりません。

 

評価できる辞書

 

岩波国語辞典と新明解国語辞典がすばらしいです。

岩波国語辞典では、現在「介護」の世話は、「看護」における世話の範囲より広くなっていることが、この中で唯一わかります。

また新明解国語辞典は第8版で、「日常生活の面倒を見」ることに加え、「医療・看護の支援」が加わりました。
「補助」でなく「支援」としているところに、介護職へのきめ細かな配慮を感じます。

 

三省堂国語辞典は、あっさりした語釈ですが正確です。

ほかは、明鏡国語辞典新潮現代国語辞典広辞苑大辞林でも、看護とは違うことがわかります。

新選国語辞典は独特で工夫があります。
しかしこの語釈では、なぜ医師と看護師の世話が「介護」でないのか、わかりません。

 

残念な辞書

 

集英社国語辞典、旺文社国語辞典、現代国語例解辞典、角川必携国語辞典、学研現代新国語辞典、三省堂現代新国語辞典、小学館日本語新辞典、学研国語大辞典、日本国語大辞典では、「介護」と「看護」の違いがわかりません。

学研現代新国語辞典は、類義語の使い分けという囲み記事を設けて、次の説明があります。

[介護・看護] 病人をかいがいしく介護(看護)する
[介護] 介護保険/在宅介護/介護サービス
[看護] 完全看護の大学病院/看護師/看護学 

しかしながら、「在宅看護」や「訪問看護サービス」ということばもあります。
この説明では意味がありません。

学研国語大辞典は1988年の発行ですが、介護福祉士の国家資格ができた1987年には「介護」の定義がされていたと思いますので、違いを書いて欲しかった。

最高権威とされる全13巻の日本国語大辞典で、「介護」は第3巻にあり2001年に発行されています。
それで、この語釈とは、いかがなものでしょうか。

 

感想

 

各国語辞典の個性がよく出ていると思います。
以下気づいたことをいくつか。

  • 同じ岩波書店でも、小型の岩波国語辞典の方が、中型の広辞苑より詳しい。サンキュータツオさんが言う通り、広辞苑は「国語辞典的百科事典」(『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方 (角川文庫)』p72)であり、「実は小型辞典の方が活きたことば、一般項目ががたくさん載っている」(同 p71)のだろう。
  • 小学館では、日本国語大辞典、小学館日本語新辞典、現代国語例解辞典が同じ系列。同じ小学館でも新選国語辞典は別物。
  • 同じ三省堂でも、新明解国語辞典、三省堂国語辞典、三省堂現代新国語辞典、大辞林の4つの語釈はみな違う。新明解国語辞典は最新の第8版で鋭い語釈の実力を見せてくれた。

 

以上、楽しい楽しい国語辞典の遊びでした。

 

>>>今回の比較でのおすすめ辞書、ベスト2はこちらです。

 

>>>国語辞典の世界に少しでも興味が出たら、間違いなく楽しめる本です。

 

関連エントリー: