子ども時代にちょっとでも野球をしたことのあるパパなら、息子ができたら一度はキャッチボールをしたいのではないでしょうか。
『桑田真澄の常識を疑え!』は、そんなパパに役立つ一冊です。
書名の「常識を疑え!」とは、「これまでの野球の常識を疑って、よりよい野球に変えてみよう」という意味です。
野球の技術的なことからスポーツ全般のことまで、よく言われがちな常識を疑って、その答えを写真付きで解説してくれます。
この本で特におもしろかった内容を紹介します。
野球の技術の解説
よくある間違いの常識の例はこちら。
「練習しただけ上手くなる」⇒「練習、栄養、休養の3つのバランスが大事」
ビッチングで「上から投げおろせ」⇒「投げやすいフォームで」
キャッチボールで「すべて正面で両手で捕れ」⇒「片手で肩の前で捕ろう」
そうだったのか!
そしてこの解説を、桑田さん自身がモデルになって写真でしてくれます。
例はこちら。
わかりやすいですね。
こんな内容で、キャッチボール、ピッチング、バッティング、守備・走塁から理想の練習まで、理解しやすい手引書になっています。
私(昭和47年生)の小学生時代の遊びの中心はもっぱら野球で、中学では野球部に入りました。
レギュラーにはなれず補欠でしたので、この本の内容を知っていればレギュラーを取れた?とくやしいくらいです。
日本の野球の歴史がパワハラの原因
技術以外で特におもしろかったのが、日本の野球の歴史の解説です。
桑田さんは次のように言います。
野球は戦前にアメリカから伝わった。
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戦時中、野球は敵国のスポーツとして続けることが難しかった。
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野球を守るために、精神性や根性を前面に打ち出した武士道精神に基づく「野球道」を提唱。
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野球によって育まれる「武士道精神」は、「精神の鍛練」「絶対服従」「練習量の重視」という3つの要素から成り立っている。
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だから野球は強い兵隊の育成に有効である。
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この歴史のマイナス面が、「練習させすぎで故障」「監督や先輩に絶対服従の上下関係」「体罰が当たり前」となった。
この「野球の歴史」こそが、最近様々な競技でニュースになっている「パワハラ」の背景の一つでしょう。
また、息子のスポーツの体験や習い事で感じたことに、なるほど!という思いです。
息子は現在、習い事で水泳とサッカーをしています。ほかにも、野球、テニス、バスケットのスポーツ少年団に体験参加しました。
ある少年団では、監督が試合でふがいないプレーをした選手にどなって怒っていて、とても違和感を感じました。
桑田さんは、次のように書いています。
僕が書きたかったのは、野球を好きで始めた子どもたちが、どうしたら楽しく野球をプレーし続けられるか、野球を通じて社会で必要なことを学べるかということ。そして、それを教える指導者とはどうあるべきかということなんだ。
息子には、勝利至上主義からでなく、スポーツを楽しむことから学び、育ってほしいと願います。
また、願わくばこうした考えを持つ指導者にあずけたい、と思っています。
以上、『桑田真澄の常識を疑え!』の紹介でした。