しあわせ情報室

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『新しい道徳』(北野武)から 道徳を他人まかせにしないことを学ぶ

『100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート』から 100通りの挨拶ができる「挨拶上手」になる」の記事で、あいさつについて考えました。

そもそも、「あいさつ」はなぜ必要か。

「あいさつと礼儀」について、北野武さんは『新しい道徳』の中でこう言います。(以下ページは新書版のもの)

 

俺も、弟子にはあいさつと礼儀だけは、厳しく教える。

だけどそうするのは、弟子を良心的な人間にしようとしているからではない。

芸人として生きていくには、円滑な人間関係は欠かせない。だから、あいさつはきちんとしなきゃいけないと教える。それは、弟子の良心とはなんの関係もないことだ。(p118)

 

あいさつは人間関係を円滑にするためのひとつの技術だ。 (p120)

 

破天荒なイメージとは違いますね。あいさつを単に「気持ちがいいから」と思考停止せず、「人間関係の技術」としています。

またこの本は、道徳教育にツッコミます。

 

道徳なんてものは、権力者の都合でいくらでも変わる。

少なくとも、いつの時代も、どんな人間にとっても通用する、絶対的な道徳はないっていうことは間違いない。(p116)

 

「GAFA」にも切り込みます。

 

カネを握った奴が、社会のカタチをどんどん変えていく。(p72)

 

IT企業は、戦国大名みたいなものだ。

世界中の人がインターネットを使うようになって、そこに新しい領土が生まれた。

その領土を奪い合う戦争をしているわけだ。(p77)

 

アマゾンだアップルだグーグルだなんだと、本来は全然土俵が違うはずの企業が、まるで組んず解れつしながら奪い合っている領土というのは、いったいどこにあるのか。(p78)

 

彼らが奪い合っている領土とは、つまり俺たちだ。(p78)

 

俺たちは現代の戦国大名たちに税を納めている。(p79)

 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の日本での出版は2018年7月。『新しい道徳』の出版は2015年9月。その時点でこの指摘は、お見事だと思います。

子どもに必要な道徳教育については、こうまとめます。

 

本当に必要な道徳教育は、子どもたちにできる限りの真実を教えてやることだ。人間の抱えている矛盾や問題をごまかさずに、だ。(p182)

 

武さんはあとがきで、「道徳を他人まかせにしちゃいけない。それがいいたくて、この本を書いた」と言っています。

あいさつや礼儀にとどまらず、広く世の中について大人が自分の頭で考えて、子どもと本音で向き合うための助けになる一冊です。

・新書版

・文庫版