ひとつ前の記事で、「死にたい」と相談する人への夜回り先生こと水谷修先生からのメッセージを紹介しました。
水谷先生の本には、大人たちへのメッセージもあります。
またまた勝手ながら、以下に紹介します。
まずは『夜回り先生』(小学館文庫)から。
どんな花の種でも、植えた人間がきちんと育て、時間を待てば、必ず花を咲かせる。これは子どももまったく同じで、親や学校の先生、地域の大人たちやマスコミを含む社会すべてが、慈しみ、愛し、丁寧に育てれば、子どもは必ず美しい花を咲かせてくれる。
もし花を咲かせることなく、しぼんだり枯れたりする子どもがいれば、それはまぎれもなく大人のせいであり、子どもはその被害者だ。(p36-37)
私にとって、子どもの過去なんてどうでもいい。今もどうでもいい。
大事なのは、時間がかかってもいいから、誰かの助けを借りてもいいから、自分自身の意思と力で、幸せな未来を作っていくこと。そのためには、とにかく生きてくれさえすればいい。生きれば生きるほど、子どもたちは誰かと出会いながら、どんどん学んでくれるはずだから。この本を読んでくれた大人たちにお願いがある。
どんな子どもに対しても、まずは彼らの過去と今を認めた上で、しっかり褒めてあげてほしい。よくここまで生きてきたね、と。生きてくれさえすれば、それでいいんだよ。(p221-222)
次に、『夜回り先生と夜眠れない子どもたち』(小学館文庫)から。
子どもの苦しみに気づいてあげる。
そしてほんの少しでもいいから、やさしさを分けてあげる。
それだけで、日本中の子どもはもっと救われるだろう。(p182)
子どもは失敗して当たり前である。
でもその失敗を許せない大人があまりにも多すぎる。
「こんなこともできないのか」
「なにやってるんだ」
「そんなことでどうする」
家庭や学校では、そんな心ない言葉が満ちあふれている。
そんなに子どもはダメなんだろうか。わたしはそうは思わない。
大人の厳しい言葉が、今、心やさしい子どもたちをどんどん闇に追い込んでいる。自分の体を傷つけたり、部屋で孤立する子どもは増える一方だ。孤独に苦しむ子どもたちはインターネットやEメールを通して、似た者同士でつながり、死について語り合っている。(中略)
でも、ぜひ皆さんの手で守ってあげてほしい。
愛を分けてあげてほしい。
子どもは受けた愛の数が多ければ多いほど、
非行から遠ざかり、心の傷は浅くなる。
愛は、私たち大人が子どもに与えることのできる、
最も簡単で、無尽蔵にあふれる、お金のかからないものだ。せめてひと言だけでいい。
身近にいる子どもに、
愛のあるやさしい言葉をかけてあげてほしい。
そしてほめてあげてほしい。 (p197-199)
ここにある「子どもは失敗して当たり前である」ということばは、スポーツが好きな子どもへの関わりとしても、心に刻んでおきたいですね。
「どうしてできないんだ!」とか言って、息子のやる気を削いでしまいそうな自分が怖いです。