2018年3月に起きた目黒女児虐待死事件の裁判での、母の優里さんの証言です。
検察側質問
「子どもは「おかあさん、お腹空いた」と言わなかったですか?」
優里被告
「おかあさん、お腹空かないの、とは聞かれました」
そんなことってある?
と、第一感は思いますよね。
裁判で、母親の優里被告は夫からひどいDVを受けていたことがわかりました。
「ほぼ毎日、『私の性格が悪い、私の行動や発言、すべてが怒られる』ような状態」
「説教は、短くても1時間、酷いときになると昼から夜までに及びます」
「正座や立った姿勢などの「正しい姿勢」で聞くことが求められる」
「『あなたの貴重な時間を使って怒ってくれてありがとうございました』と反省文を書かされる。そのうちに、『反省をもっと違う態度で示せ』といわれ、『自分の髪の毛を引っ張ったり、太ももを次の日に真っ黒になるまで叩いたり、自分の顔を叩いたり』と、自分で自発的に自傷することが求められました」
ひどいですね。
ここで、水谷修先生の著書『夜回り先生のねがい』にある、親子の会話を紹介します。
ごめんね。
つい叩いちゃって。
痛かったでしょ?ごめんね。
あんなに怒鳴っちゃって。
つらかった?ごめんね。
ひどいことさせちゃって。
嫌な思いしたよね。ごめんね。
いつもひとりぼっちにして。
寂しかっただろうね。ごめん、ね。
うん。でも大丈夫。
知ってるから。
きっとお母さんのほうがつらかったんだよね。
この事件の優里さんと結愛ちゃんが、水谷先生の本にある母と子の会話に重なって、つらくなります。
DVを受ける母の優里さんを見ていて、結愛ちゃんは「お母さん、お腹すかないの」と言ったのでしょう。
水谷先生は『夜回り先生のねがい』の中でこんなことも書いています。
彼らは会社や家庭などのそれぞれの組織の中で、上司や夫から言われたことをただひたすら、しかも限界のところでやり過ごしながら生きています。そのせいで自尊心も失いつつあります。自尊心を失うと生きる力が弱まり、それだけ人間としての器が小さくなる。そのイライラを、暴力という形で子どもにぶつけているのです。(p29)
夫のDVの理由はわかりませんが、優里被告は夫からのDVで、限界を越えてしまったのでしょう。
その水谷先生は、ホームページを閉鎖してしまいました。
経緯は、この情報が詳しいです。
水谷先生は、「わたしの本を読んでくれればそこに答えが」と書いていました。
目黒女児虐待死は、このことばを痛感する事件です。
【2020.3.29追記】
夜回り先生のホームページが再開しています!