しあわせ情報室

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子どものスポーツでの、大人の勝利至上主義の弊害。

少し前の話題です。プロ野球の横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手が、勝利至上主義を批判する声を上げています。

 もちろん僕も「勝つこと」「勝ちを目指すこと」がダメだと言っているわけではありません。スポーツである以上、勝つのが目的ですし、プロなら当たり前のことです。

 しかし、成長過程の子供たちに、「勝つこと」はそれほど重要でしょうか。いや、むしろ弊害になる場合さえある、と僕は思います。勝つことが絶対的な目標とされる「勝利至上主義」は、いま様々なスポーツの現場で問題視されています。

 勝利至上主義の弊害の一つは、野球が子供たちのためではなく、指導者の実績や功績、関係者や親など大人たちの満足のためのものになってしまいがちな点です。

 少年野球や高校野球、大学野球を含めた子供たちの野球は、3年から4年のスパンで選手がどんどん入れ替わります。そのためチームの実績は実際にプレーをした選手たちではなく、チームと指導者の功績として評価されることになるわけです。

 

コーチや親といった大人の勝利至上主義の弊害については、サッカー指導者の池上正さんも『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の中で詳しく書いています。池上さんは、"大人が勝ち負けに強く執着するとすべてがマイナスに作用する" 、とまで述べています。

 

弊害を考える前提として池上さんは、子ども自身が勝ち負けにこだわることは大切だ、と言います。練習では勝ち負けがあるメニューをたくさんやらせるそうで、"勝ち負けが決まるゲームをたくさんすると非常に集中し、どうしたら勝てるかということを自分で考えるようになり、子どもは上達します。"とあります。

 

では、なぜ大人の勝利至上主義は「すべてがマイナスに作用する」のか。サッカーで、勝利至上主義の大人が指導するチームの子どもは、

・負けていると下をむいていつも通り動けなくなり、プレーができなくなる。

・前に蹴るだけになったり、ユニフォームを引っ張るようになったりして、技術が磨けず上達しない。

・チーム内に過度の摩擦が起きて、前向きな感情や充実感がなくなる。

という弊害が出るそうです。

 

さらに、大人が勝つことばかりにとらわれると、

・チームワークが子どもの中に育たず、サッカーという集団スポーツで体験できるプラスアルファであるべき「和」が学べない。

と言います。

 

また、勝利至上主義で余裕がなくなった大人の指導によるオーバートレーニングによって、身体面の故障や、精神面の燃え尽き症候群の心配をしています。日本のサッカー界では、長時間練習の神話が崩れつつあり、"時間的にも、気持ちの部分でも余裕を持って、集中してサッカーに取り組めている" 学校が強くなっているとのことです。

 

サッカー先進国に目を向けると、ブラジルやヨーロッパでは、そもそも小学生年代の全国大会がないそうです。特にブラジルは、かつて小学生の全国大会を開催していた時代に、いい選手が育っていなかったので、やめてしまったとのこと。

 

「Jリーグプレーヤーをひとりでもいいから輩出したい」という目標を持つコーチに向けた、次の一節に、池上さんの考えがまとまっていると思います。

本当にそうなのであれば、目先の勝利よりも子どもが本当に楽しめているかを優先してください。子どもが楽しめるよい練習、質の高い練習、100%の力と100%前向きな気持ちでプレーできる試合をさせてあげてください。自分で考えてサッカーをやれる子どもたちをたくさん育ててください。そうすれば、おのずと結果はついてきます。そして、その中から、必ず将来プロの世界へ飛び立ってい子どもが出てきます。(p64)

 

この週末、息子がソフトテニスの1対1の試合形式の練習で、同学年の子の二人にコテンパンに負けました~!。眼の前でわが子が負けると、心は正直のところ落ち着いていられません。いろいろと小言を言いたくなります。今回は、直前に池上さんの本を読んでいたので、ぐっとこらえました。親も修行ですね。

 

子ども自身が一生懸命がんばり、勝ち負けにこだわる心を育て、応援しつつも、フェアプレーの精神を伝え、過度な練習にはブレーキをかけられる、そんな親でいられたら理想かな、と思っています。

 

▼サッカーだけでなく全てのスポーツに共通する、スゴ本だと思います。

サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)

サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)

 

(2019.7.16 Update)