『ドラえもん』の名シーンの紹介をする次の記事の中で、『ドラえもん 第2巻』が220刷で驚いたと書きました。
以来、他に200刷以上の本があるか気になっていると、本棚に一冊ありました。
『子育てハッピーアドバイス』です。
手元にあるものが2007年3月で161刷。
思わず編集部に電話して確認すると、最新は2017年10月で210刷だそうです!(※2018年12月時点の情報)
出版社は一万年堂出版という会社で大手ではないとしても、スゴイ数字ではないでしょうか。
著者の明橋大二先生は精神科医で、小学校のスクールカウンセラーもしています。
赤ちゃんや子どもの発達や心理を背景にしたアドバイスに、説得力があります。
診療や小学校の実際の現場が背景にあるのでしょう。
子育てのよくある疑問へのアドバイス
あたためて読み返すと、私も子育てでぶつかってきた疑問に、わかりやすいアドバイスが満載です。
一例を紹介します。
- 赤ちゃんに抱きぐせをつけてはいけないか
←抱っこされると子どもは「自分は大切にされている」と感じ自己評価が上がる。だから抱っこは大いにやったほうがいい。激しく泣いても抱っこしないことが続くと、ある時から泣かなくなって無表情になる。心のトラブルの始まり。 - 「甘やかす」と「甘えさせる」はどう違うのか
←「甘やかす」…してはならない。過干渉、過保護ともいって、大人の都合で支配すること。
←「甘えさせる」…よいこと。必要なこと。子どものペースを尊重すること。 - 母親が働きに出ることはプラスかマイナスか
←「子どもが3歳までは母親が育児に専念すべき」のような3歳時神話には合理的な根拠はない。外野席の声には惑わされず自分の気持ちで決めていい
たくさんの子どもを見てきたからこそ、できるアドバイスだと感じます。
カーネギーの『人を動かす』との共通点
さらに、再読して新たな学びがありました。
『子育てハッピーアドバイス』とカーネギーの『人を動かす』との共通点です。
第1章の「子どもに心配な症状が出るのは、しつけがなされていないからでも、わがままに育てたからでもない」では、問題の本質は「自己評価の極端な低さ」とします。
「自己評価」とは「自己肯定感」「自尊感情」ともいうとのことで、これは、『人を動かす』にある三原則の一つ、「重要感を持たせる」そのものです。
第15章の、「子どもの相手をしていると、カッとなってキレてします。どうしたらキレなくてすむのか」のアドバイスは、自己中心的で、失敗をし、言うことを聞かないという子どもの現実を認めることです。
これは人を動かす三原則の残り二つ、「盗人にも五分の理を認める」「人の立場に身を置く」に通じます。
ロングセラーの本には、時代を超えた共通点がありますね。
赤ん坊も、子どもも、家族も、職場の上司、同僚、後輩も、求めるものはみな同じ…。
今からでもできる、お父さんの子育て
この本のもう一つの特長は、後半の1/4以上のページが、「子どもを守ろうとするなら、まずそれを支えているお母さんを守らなければなりません」と、母親へサポートについて書いてあるところかと思います。
その中で、「今からでもできる、お父さんの子育て」を、次のようにあげています。
- 初級コース「話を聞く」「労をねぎらう」「情報集め」
- 中級コース「夜泣きをあやす」「風呂に入れる」「体を使った遊び」
- 上級コース「料理を作る」「育児、家事の分担」
これは耳が痛い!
初級の「話を聞く」「労をねぎらう」が、一番難しいです!
話を聞こうとしてはいます。
でもつい、奥様の話が延々と続くと、いいかげんにしてくれー、や、主婦はこれくらいやって当然じゃない? と思ってしまうのです。
男と女の違いを、頭ではわかっているつもりです。
ベストセラーの『妻のトリセツ (講談社+α新書)』も『話を聞かない男、地図が読めない女』も『ベスト・パートナーになるために』も読みました。
でも、難しいです。
むしろ中級の「体を使った遊び」や上級の「育児、家事の分担」はできるんです。
相手が子どもで、かわいいですので。
世の奥様の「話を聞く」「労をねぎらう」 を、 毎日実践できるパパは、子育ての超上級者でスーパーエキスパートだ!と思います。
まぁ、座右の一冊の『〈神道〉のこころ』で葉室頼昭先生も、「一番難しいのは女房に感謝」とおっしゃってますので、世のパパさん共通の悩みということで…。
父親は、子どものしつけや教育の前に、「母親の心のサポート」をちゃんとすることが一番大事なんだと、忘れないようにします。