パソコンの日本語入力の方式で、「親指シフト入力」に挑戦しています。
「親指シフト入力」とは「かな入力」の変形で、人差し指から小指までの単独打鍵と、親指とその他の指の同時打鍵を使い、日本語を50音のままにタイピングしていく入力方式です。
詳しい特徴が、2018年の読売新聞の記事に出ています。
特徴は、一つのキーに二つのかなを割り当て、親指キーという特殊なキーを同時に押す(同時打鍵)か押さないかで、打ち分ける仕組みだ(これが名前の由来だが、キーボードの左右にある「シフト」キーを親指で打つと誤解されることも多い)。この仕組みのおかげで、日本語関連のキーの数がJISかな配列(47個)より少ない30個で済む。ホームポジションと呼ばれる、基本の手の位置から指を大きく動かさずに打てるため、キーを見ずに打つタッチタイピングがしやすいという。また、子音と母音の組み合わせで打つローマ字入力より、キーを打つ回数が少ないのもメリットだ。
どっこい生きてる「親指シフト」~練習道場が人気、変換アダプターも
ローマ字入力を社会人1年目から約25年続けてきて、40歳後半でのチャレンジです。
この記事では、親指シフトに挑戦する理由と、設定、教科書、習得までの期間についてまとめます。
2021年10月23日に Windows10からWindows11にアップグレードし、「やまぶきR」+「Google日本語入力」の環境で、特に問題なく親指シフトができています。
パソコンは「Dell Inspiron 14 5415」です。
⇒ Inspiron 14 ノートパソコン (AMD) (5415)挑戦する理由
理由は、「マンネリ打破」と「思考のねじれをなくす」の2つです。
マンネリを打破し新しいチャレンジをする
マンネリは、特にこのブログに感じていました。
何日かいろいろ模索する中で、ふと「親指シフト入力」が頭に浮かびます。
親指シフト入力を初めて知ったのは、勝間和代さんの著書『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』を読んだときです。
発刊は2007年ですか、懐かしい。
最近では、立花岳志さんが著書の『「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる』ですすめるのを読んでいました。
そしてこの2ヶ月のうちに、お二人ともYouTubeに実演動画を上げたのを見て、特に気になっていたところでした。
いまブログに感じているマンネリは、元は頭の中のマンネリや停滞なのかもしれません。
それならいっそ新しいことにチャレンジして、指先の刺激から変えてみるのもいいかもしれない、と思い立ちました。
ローマ字入力による思考のねじれをなくす
立花岳志さんは著書の『「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる』に、こう書いています。
「日本人が日本語を入力するのに、わざわざ一旦アルファベットに変換する」という脳内の「ねじれ」が、思考の整理を邪魔していく (p66)
こう言われると、確かにローマ字入力だと思考がねじれるような気がするのです。
というのも、スマホで使っている「フリック入力」の方がローマ字入力より、頭に浮かぶことばがスッと文字になるように感じるからです。
一つ目の理由で書いた思考のマンネリや停滞も、ローマ字入力を長年続けてきたことが原因の一つのように思えてきました。
「親指シフト – Wikipedia」によると、「作家、ライター、脚本家など、執筆業を営む者を中心に多くの著名人が親指シフトユーザーであることを表明している」とのこと。
作家の姫野カオルコ、高橋源一郎、宮部みゆき、曽野綾子、猪瀬直樹、貫井徳郎、内田康夫、脚本家のジェームス三木、北川悦吏子、社会学者の宮台真司
など、そうそうたるメンバーが親指シフトユーザーだそうです。
たとえしばらく入力スピードが遅くなっても、思考のねじれの解消を優先にやってみようと思います。
設定は?
私が愛用する、ASUSの低価格ノートパソコン「E203MA」、OSはWindows10での設定です。
開始10日目の現状
結論からいうと、チャレンジ10日目の現状の設定はこうなっています。
- エミュレータソフトは「やまぶきR」
- 左親指キーを「スペース」、右親指キーを「変換」に設定
- IMEは「Google 日本語入力」
右手側のキーを一つ右にずらし、親指を自然な位置に置く「orzレイアウト」の設定は、試してみて一旦見送りました。
スペースキーの周りはこうです。
幸いにもスペースキーが短いキーボードでしたが、右手親指キーに設定する「変換」キーが小さいのがつらいところ。
マスキングテープを貼って印をつけています。(※レイアウトを覚えた開始12日目に外しました)
以下、これまでの検討の経緯です。
検討経緯
- Windowsユーザーで親指シフトを推す勝間和代さんが、上に紹介したYouTubeの動画で「やまぶきR+orz配列+Google 日本語入力」と言っている
- ブログでも、同じことを書いている
- やまぶきRを検索するとVectorにフリーソフトのインストール版があり、心変わりしないうちにインストール
- 勝間さんのブログ、親指シフト道場を開催している大東信仁(=ものくろ)さんのブログ、大東さんのブログで知った塩澤一洋さんのサイトで、親指シフトの関連情報をチェック
- これらの情報から、富士通の「親指シフトキーボード入門」と、日本語入力コンソーシアムの「NICOLA派宣言」を知り、目を通す
- ものくろさんのブログ記事「親指シフトのやり方【Windows】たった5分で始める 必要なのはUSBメモリーだけ! やまぶきR 設定方法」を読み、左親指キーを「スペース」、右親指キーを「変換」に設定
- ものくろさんの道場に参加した方のブログを見ると、レイアウト図を印刷してノートパソコンの画面上部に貼っているので習う(図はwikipediaから)
- 「NICOLA派宣言」の練習メニューに沿って、「きのう」「きょう」「あす」などの頻出語句から練習するも、全く進まない!両手の薬指と小指がプルプルする!!
- 教科書を富士通の「親指シフトキーボード入門」に切り替え、ホームポジションの練習からやってみる
- 一日4時間、2日間練習するも、できるようになる気がしない
- 3日目に上にあげた先輩方のブログをもう一度よく読む
- 勝間さんも塩崎さんもorzレイアウトをすすめていて、ものくろさんの道場でも参加した方のブログでは最初からorz配列で習うようなので、私もここでorzレイアウトを試す
- 確かに右手での入力はしやすくなったが、英字や6~0の数字の入力ミスを頻発する(もともと数字はタッチタイピングできていなかった)
- orzレイアウトで右手のホームポジションがずれることまで同時に習得は無理と諦め、4日目から通常のホームポジションでの習得に集中する
- 5日目になんとかなりそうに思えてきて、「NICOLA派宣言」のメニューの練習と平行してブログを書き始める
- 10日目の今日現在、まだレイアウト図は外せないが、徐々にタッチタイピングできるようになってきている
以上です。
以下補足します。
orzレイアウトについて
orzレイアウトを使うのは、親指シフトをある程度マスターしてからか、コツを先達に教えてもらいながらでないと無理、と感じます。
だからorzレイアウト開発者のものくろさんも、「始めるときはシンプルに」「『右手の親指が窮屈』と感じた時にorzレイアウト」と、まずはorzレイアウトなしのやり方をすすめているのかと。
道場の開催があればすぐに参加したいところですが、現状予定がないのでorzレイアウトなしでトライしてみます。
右手の親指について
orzレイアウトにしないと確かに不自然になりますが、立花岳志さんは上の動画で親指を完全に折りたたんで打っています。
この境地を目指します(立花さんは特別手が大きいそうですが…)。
やまぶきRのインストールについて
現状Vectorからインストール版を入れる他に、作者のサイトから直接ダウンロードする方法があります。
両方試してみましたが、特に挙動の違いは感じませんでした。
インストール版だとスタートアップに登録されて起動と同時に立ち上がるようになり、orzレイアウトへの切り替えを簡単にできるようにもなって便利です。
やまぶきRの作者のサイトからダウンロードして後からこのように設定することもできますが、インストール版の方が楽です。
やまぶきRのインストール版は、現在こちらの会社が管理しています。
やまぶきR以外にも、いろいろと情報が出ています。
他のエミュレータソフトについて
Windowsで有力なものは「やまぶきR」の他に、「DvorakJ」と「紅皿」があるようです。
勝間さんが過去にDvorakJを使った上で、現在やまぶきRを使っているので、まずはやまぶきRで学びます。
教科書は?
本はないので、Web上の情報から次の3つを教科書として使っています。
- 親指シフトキーボード入門
- NICOLA派宣言
- 成蹊大学塩澤教授の習得の掟7つ
親指シフトキーボード入門
親指シフトを開発した富士通が作った、 全45ページの無料の手引書です。
上のリンク先のページにあるexeファイルをダウンロードすると、パソコン上で読むことも全文印刷することもできます。
目次は以下の通りで、親指シフトの一通りが学べる内容です。
- 親指シフト(NICOLA)とは
- 親指シフトキーボードの入力方法
- タッチタイピングについて
- 入力の練習
- 親指シフトを使ってみよう
この 4.にある入力の練習を2日間しても、薬指と小指がプルプルして全くできる気がしませんでした。
そこで1から3を熟読し、以下の気づきを得ました。
- ピアノの和音を弾くときのように、文字キーと親指シフトキーを同時に打鍵する
- 親指と一緒に打鍵するのは、実際に行ってみるとリズミカルで自然な動作
- ホームポジションのある真ん中の段だけで約63%、上の段と合わせると約90%の日本語が打てる
- できるだけ左右の指が交互に打鍵されるように配列
- 始めはゆっくりでかまわない
- 正確にキーを打てるようにする
- キーの位置を覚えてタイミングに慣れてきたら、意味のある単語や文章を入力すると、自然とリズミカルなキー入力ができる
これらを頭にたたき込んでから練習し直すと、何とかなるように思えてきました。
練習メニューは、ホームポジション→各指→単語→総合練習の順に、全23項目あります。
私は各指の練習までして、下の「NICOLA派宣言」の練習メニューに移りました。
NICOLA派宣言
上の富士通のサイトに日本語入力コンソーシアム(=NICOLA)へのリンクがあり、その中にこの「NICOLA派宣言」があります。
親指シフト道場を主催する大東信仁(=ものくろ)さん一押しの教科書です。
富士通の手引書の凝縮版という感じで、Section 2.にあるタイピングマスターの秘訣、《まず観察から始めよ》《「同時」にこだわり過ぎないこと》《打鍵の基本はホームポジション》《タイピングマスターのための3か条》の内容は必読です。
練習メニューは、頻出語句→ホームポジション→右手→左手→濁音→半濁音→仕上げの順に7項目と、コンパクトにまとまっています。
私は今ここにある頻出語句から半濁音までの練習を繰り返し中で、実践としてブログを書いています。
成蹊大学塩澤教授の「習得の掟」
成蹊大学の塩澤一洋教授による「習得の掟」です。
掟は次の7つです。
- その1 画面(と配列表)のみを見る
- その2 親指シフト始めたら親指シフトのみ
- その3 正確かつ確実にゆっくり打鍵する
- その4 お化けの手、猫の手、ピアノの手
- その5 必ずできると信じてゆっくり進む
- その6 10本の指を常時ホームポジションに保つ
- その7 タイプするときは、打鍵する指1本だけを移動し、打鍵し、またホームポジションに戻す
このうち、特に「正確かつ確実にゆっくり打鍵する」と「お化けの手、猫の手、ピアノの手」が習得のコツだな、と感じています。
ものくろさんはこの二つと違うことをして、3か月遠回りしたそうです。
習得までの期間は?
どれくらい練習が必要か
まず、親指シフト入力の習得までにどれくらい練習が必要か、1日の練習時間の目安と習得までの期間を上で紹介した3つの教科書で内容を確認します。
親指シフトキーボード入門
練習に集中してしまい、長時間続けてしまわないように注意しましょう。あらかじめ30分程度に目安を決めて、適度に休憩することが必要です。
また、一日に何時間も続けて練習するより、毎日継続して練習する方が良いでしょう。
親指シフトの練習に、1日30分で1ヶ月(約15時間)を費やしたとしましょう。…
1日30分程度で毎日練習し、約1ヶ月が目安のようです。
NICOLA派宣言
キーボードマスターは自転車の練習に似ている。 ある程度乗れるようになるまで、集中して練習することが大切だ。 この間に、脳から指先にかけての神経回路を作り上げるのである。 毎日5分の練習では、なかなか走れるようにならない。 最初に数時間、次も数時間、その次も数時間を単位にすべし。
3日間で「なんとかなる」という実感が湧き、3週間で「打てる」という自信がつき、3か月後にはJISかな入力やローマ字入力では得られない、スムーズな打鍵の快感を味わっていることだろう。
こちらでは、最初は毎日数時間の練習をすすめています。
期間については、3カ月で打鍵の快感を味わえるとのこと。
塩澤教授の習得の掟
掟その2 ── 親指シフト始めたら親指シフトのみ
決してローマ字入力しない。人間が何かのスキルを身に付けるには、蓄積が必要です。繰り返し、繰り返し練習を続けるのです。それが必要な量たまったら、飛躍的に進歩します。飛躍に必要な蓄積量のことを閾値(いきち)といいます。閾値を超えるまで、ひたすら一意専心。練習あるのみです。shioの場合、一日5時間以上練習したら3日で実用的な速度で打てるようになりました。
塩澤教授は一日5時間以上練習して、3日で実用的な速度で打てるようになったとのこと。
見解が分かれていますね。
そういえば勝間和代さんも『効率が10倍アップする新・知的生産術』に、「3日間でこれまでのローマ字入力のスピードにほぼ追いつくことができました」と書いています。
3日とは、塩澤教授と同じですね。
ピアノやエレクトーンを習っていると習得が早いらしい
勝間和代さんはブログに、「エレクトーンを弾いていたので同時操作に慣れていた」と書いています。
どうも私はエレクトーンをずっと弾いていたせいなのか(エレクトーンは右手と左手と足を同時に操作をするので1度に違うことを右手と左手で同時にすることに慣れていました)、比較的もともと指先が器用だったせいなのか、理由はわかりませんが1週間ぐらいで大体の親指シフトのキーボードの位置を覚えてしまい、数週間もすればローマ字入力よりもずっと速くなったので、それ以来ずっと親指シフトを愛好しています。
もしやと思い、塩澤教授のプロフィールを確認すると、ピアノを5歳から習っていたとあります!
実際に親指シフトの練習をしてみると、親指と他の指で同時に打鍵するのは、ピアノやエレクトーンを弾く指使いと似ているんだろうな、と感じます。
親指シフトの習得にかかる期間は、勝間さんや塩澤教授のように子どものころにピアノやエレクトーンを経験していると、短時間の集中練習だけでOKな可能性があるのではないでしょうか。
一般的な習得までの期間の目安
一般的には、ピアノなどの未経験者は「NICOLA派宣言」にある通り、異なる方式を途中で混在させないで練習して、3日間で「なんとかなる」、3週間で「打てる」、3か月で「快感」を目指す、が現実的なところだと思います。
理想は最初に1日数時間の練習を3日程度集中してやって、その後も他の入力方法を一切使わず実践
していくことなのでしょう。
しかし、サラリーマンなど勤め人の立場で、習得前に職場で親指シフトでタイプしていたら、「練習は家でしろ!」と上司に怒られるのがオチです。
そこで、親指シフトキーボード入門にある通り、
1日30分でも毎日継続することが重要
になるんだと思います。
それで、なんとか打てるまで1ヶ月が目安というところでしょう。
サラリーマンなら、ローマ字入力との混在もしばらくはいたしかたなし。
私のこれまでの練習の振り返り
昨年末に会社を辞めて定職がないので、家で親指シフトでブログなどを書いていて他人に怒られることは、幸いにもありません。
ローマ字入力で数字以外はタッチタイピングできていたところからのスタートです。
ピアノやエレクトーンの経験はありません。
そんな状況で初日から10日目の今日まで、こんな感じです。
- 初日に「NICOLA派宣言」の頻出語句の練習から開始
- 全く指が動かず、「親指シフトキーボード入門」のホームポジションからの練習に切り替える
- 1日4時間、2日間練習するも全くできるようになる気がせず
- 3日目に、先人のブログと各教科書を熟読する
- またここで塩澤教授の掟の禁を破り、速度の記録をとっておくためにタイピング練習ゲームの「寿司打」をローマ字入力で何回かやってみる
- 逆にこれで、掟にある「お化けの手、猫の手、ピアノの手」の感覚をつかむ(ような気がする)
- 4日目に、「NICOLA派宣言」のテキストでの練習を再開
- 5日目に、練習に並行してブログを書き始める
- 8日目に、半分以上はタッチタイピングできていることに気づく
- 9日目に、9割タッチタイピングできている実感
- 10日目で、もうローマ字入力には戻りたくないと感じている
私の中の大きなブレイクスルーは上にある3日目で、各教科書を読んで配列の特徴を頭で理解したことがよかったようです。
またここでローマ字入力で早打ちをして、タイピングの手の形や力加減の感覚を思い出すことで、指がスムーズに動き始めました。
慣れない入力方法を覚えなければと肩や指に力が入り、タッチタイピングそのものの基本を忘れてしまっていたようです。
現在特にうまく打てないのは、「X」「C」などローマ字入力では使わないキーです。
これらのキーを打つ指の形の感覚が無いからでしょう。
ここを集中して練習すれば、何とかなりそうな気がします。
試しに先ほど「寿司打」をしてみたところ、レイアウト図をチラ見しながらでローマ字入力時代の1/4のスピードでした(汗)。
速さはダメダメですが、頭の中でローマ字に変換しないせいか、5本の指をバランスよく動かすせいか、不思議と頭はスッキリしています。
(参考)フミコフミオさんもローマ字入力ではブログを書かない
ところで、超有名ブロガーのフミコフミオさんは、ブログをガラケーで書いていると前に言っていました。
今はどうか不明ですが、あのリズミカルな文章の秘密は、ローマ字入力でブログを書いていないからかもしれませんね。
以上、40代後半で親指シフト入力に挑戦する理由と、設定、教科書、練習についての情報でした。
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